著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Lumbung Inovasi Jurnal Pengabdian kepada Masyarakat
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
取り組みの目的と背景
この論文は、インドネシア・バリ州バドゥン県アビアンセマル村で魚の加工を営む小規模事業者グループ「ムルタ・スガラ」を対象に行われた地域貢献プログラムの報告です。著者らは、グループの事業運営についての理解、製品包装の質、事業を続けていくための備えを高めることを目的に掲げています。
抄録によれば、このグループには三つの課題がありました。一つ目は、売上や支出を体系的に記録する帳簿がなかったことです。二つ目は、グループが作る「プンダン」(塩を使って煮た魚の加工品)の包装が簡素で、開いた状態のままだったことです。三つ目は、事業継続の計画や、食品として販売するための法的な許可がまだ整っていなかったことです。
どのように支援を進めたか
研究チームは、対象者自身が関わりながら進める参加型の方法をとり、観察、課題の特定、解決策の検討、実施、そして経過の確認と評価という五つの段階で活動を進めたと報告しています。
実施した内容は主に三つです。まず、現金の出入りを記録する現金出納帳と、利益と損失をまとめる損益報告書を使った簡易帳簿づけを支援しました。次に、「ダブルチャンバー型」の真空包装機を導入し、加工後のプンダンの包装方法を改める試みを行いました。さらに、食品の製造販売に関わる許可(SPP-IRT)について初歩的な説明を行い、グループとしてのまとまりを強めるために52着の揃いの制服を配布しました。
著者らは、帳簿づけ、加工後の包装技術、法的手続きの強化を一つの支援の枠組みにまとめた点、また当初の提案書の計画をそのままなぞるのではなく、グループが実際に必要としていることに合わせて生産面の解決策を調整した点を、この取り組みの新しさとして挙げています。
報告された主な結果
グループのメンバー52人に対して支援の前後で理解度テストを行ったところ、記述的な比較として、帳簿づけと資金管理の分野で22〜26ポイント、包装の改善の分野で18〜22ポイント、事業継続の分野で12〜18ポイント、それぞれ得点が上がったと報告されています。
研修中の観察では、メンバーがチームの手助けを受けながら取引の記録や真空包装機の操作を実際に始めたことが確認されました。一方で著者らは、こうした作業を一貫して、自分たちだけで続けられるようになるにはさらに支援が必要であること、また食品の販売許可については初歩的な学習の段階にとどまっていることも明記しています。
この報告が示すこと
著者らは、この取り組みが国連の持続可能な開発目標(SDGs)のうち、働きがいと経済成長(目標8)、産業と技術革新(目標9)、つくる責任つかう責任(目標12)に関わるものだと位置づけています。そのうえで、現場の実際の必要に基づいて家庭規模の水産加工グループを支える方法の、最初の手本になりうると述べています。
帳簿づけや包装の取り組みは始まったものの、自立した定着や販売許可の取得はまだこれからの段階にあるという点も含めて、小さな地域の事業者を支える活動の現状を伝える報告といえます。
原著論文の著者・所属:I Made Aditya Pramartha(Warmadewa University)、I Made Setena(Warmadewa University)、Ida Ayu Putu Santi Purnamawati(Warmadewa University)、Ni Putu Bintang Putri Sarasmita(Warmadewa University)、Ni Nyoman Anggun Triana Dewi(Warmadewa University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):I Made Aditya Pramartha, I Made Setena, Ida Ayu Putu Santi Purnamawati, et al. Pendampingan Pembukuan Sederhana dan Optimalisasi Pengemasan Vacuum Sealer dalam Mendukung Keberlanjutan Kelompok IKM Pengolahan Ikan Merta Segara, Abiansemal, Bali. Lumbung Inovasi Jurnal Pengabdian kepada Masyarakat 2026-09-09. DOI: 10.36312/linov.v11i3.6501. 原著ライセンス:CC BY.