著者の所属・活動拠点の国は、タイです。
掲載誌:Food Chemistry Advances
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、揚げ物用の油として、脂肪酸の構成比をバランスよく整え、トランス脂肪酸の含有量が少ないブレンド油を開発したと報告しています。目標としたのは、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、一価不飽和脂肪酸(MUFA)、飽和脂肪酸(SFA)の質量比を1対1対1にそろえることです。この比率は、三つのグループの頭文字をとって「P:M:S比」と呼ばれています。
論文の題名が示すとおり、研究では油の配合を考えるだけでなく、できた油の性質を調べ、商業的に成り立つかどうかも検討しています。
配合の決め方と保存試験
著者らはまず、植物油の脂肪酸組成をまとめたデータベースを使い、目標のP:M:S比に近づく組み合わせを探しました。その結果、パームステアリン(パーム油から分離した固まりやすい成分)30%、米ぬか油40%、大豆油30%を混ぜれば条件を満たせる見込みがあると判断しました。
次に、実際に作ったブレンド油を250グラム入りの高密度ポリエチレン(HDPE)製プラスチックボトルに詰めました。これを室温(26±2℃)で、通常の実験室の照明の下に置き、保存開始時と3か月後に品質を比べています。
主な結果
完成したブレンド油のP:M:S比は1.00対0.97対1.00で、目標の1対1対1にほぼ一致したと報告されています。トランス脂肪酸の量も、米国食品医薬品局(FDA)が推奨する上限を下回っていました。
保存中の劣化については、二つの指標で調べています。一つ目は過酸化物価で、油が酸化したときに最初にできる物質の量を表します。この値は90日間の室温保存で1キログラムあたり1.24±0.25ミリ当量から7.09±0.53ミリ当量に上がりました。それでも著者らは、FDAが推奨する範囲(最大10.0ミリ当量)に収まっていたとしています。
二つ目のTBA値は、酸化がさらに進んでできる物質(二次酸化生成物)の目安です。この値は1キログラムあたりマロンジアルデヒド換算で2.20±0.02ミリグラムから10.19±0.04ミリグラムに上がりました。著者らは、保存中に二次酸化生成物ができていたことを示すものと述べています。そのうえで、過酸化物価は保存期間を通じて規制上許容される範囲にあったとしています。
生産にかかる変動費の合計は、1リットルあたり約73タイバーツ(約2.1米ドル)と見積もられました。
研究が示すこと
この研究は、身近な3種類の植物油を組み合わせるだけで、脂肪酸の比率をほぼ狙いどおりにそろえ、トランス脂肪酸も少ない揚げ油用ブレンド油を作れることを示しました。あわせて、3か月の保存での品質変化と生産コストの見積もりも報告しています。保存中に酸化の一部が進んだことも示されており、品質の変化を複数の指標で見ることが大切だとわかります。
原著論文の著者・所属:Teerasak Punvichai(Faculty of Innovative Agriculture, Fisheries and Food, Prince of Songkla University, Suratthani campus, Suratthani, Thailand, 84000; Integrated High-Value Oleochemical Research Center, Prince of Songkla University, Suratthani campus, Suratthani, Thailand, 84000)、Tharawee Wahiratreeyakul(Faculty of Science and Industrial Technology, Prince of Songkla University, Suratthani campus, Suratthani, Thailand, 84000; Integrated High-Value Oleochemical Research Center, Prince of Songkla University, Suratthani campus, Suratthani, Thailand, 84000)、Santichai Inrit(Faculty of Science and Industrial Technology, Prince of Songkla University, Suratthani campus, Suratthani, Thailand, 84000; Integrated High-Value Oleochemical Research Center, Prince of Songkla University, Suratthani campus, Suratthani, Thailand, 84000)、Sirusa Kritsanapuntu(Faculty of Innovative Agriculture, Fisheries and Food, Prince of Songkla University, Suratthani campus, Suratthani, Thailand, 84000; Integrated High-Value Oleochemical Research Center, Prince of Songkla University, Suratthani campus, Suratthani, Thailand, 84000)、Preeyabhorn Detarun(Center of Excellence in Functional Foods and Gastronomy, Faculty of Agro-Industry, Prince of Songkla University, Korhong, Hat Yai, Songkhla, Thailand, 90110)、Somjai Nupueng(Biomass and Oil Palm Center of Excellence, Walailak University, Nakhon Si Thammarat, Thailand, 80160; School of Accountancy and Finance, Walailak University, Nakhon Si Thammarat, Thailand, 80160)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Teerasak Punvichai, Tharawee Wahiratreeyakul, Santichai Inrit, et al. Development, characterization, and commercial feasibility of a deep-frying oil blend with a balanced fatty acid profile and low trans fatty acid content. Food Chemistry Advances 2026-08-19. DOI: 10.1016/j.focha.2026.101383. 原著ライセンス:CC BY.