著者の所属・活動拠点の国は、韓国です。
掲載誌:Scientia Horticulturae
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、冬の温室で日光を補う照明として、高圧ナトリウム灯(HPS)とLEDがキュウリの生育環境、収量、光合成の特性にどう影響するかを調べました。照明の選択は電力を光に変える効率だけで判断されがちですが、HPSが作物に与える放射熱にも着目しました。
何を、どのように調べたか
韓国の隣接するガラス温室3区画で、キュウリ品種「Dongi」をつるを高く誘引する方式で栽培し、補光なし、HPS、LEDの条件を1区画ずつ設けました。HPSとLEDは、ランプから1.5メートル下で測った光合成に利用できる光の量と点灯スケジュールをそろえました。温室内の気温や葉の温度、出荷可能な果実の収量と個数、光合成に関わる指標に加え、照明・暖房のエネルギー使用を比較しました。
主な報告結果
研究チームによると、2月中旬から下旬以降、両方の補光条件で補光なしより出荷可能な果実の収量が有意に増え、報告された収量は1株当たり補光なし3.2キログラム、LED5.1キログラム、HPS5.9キログラムでした。HPSとLEDの差は主に果実数に表れ、それぞれ1株当たり34.2個と28.7個でした。ただし、HPSの累積収量がLEDを有意に上回ったのは3月に収穫した果実についてのみで、この時期には夕方の両区の気温差も広がっていました。夕方の点灯中、HPS区の葉は気温より1.3℃高く、LED区の葉は気温と同程度でした。一方、測定した光合成関連の指標にはランプ間の差がなく、著者らはHPSの収量上の優位性を、光合成能力の違いではなく作物が温められたことと関連づけています。LEDの照明用電力はHPSより44%少なかったものの、HPSでは放射熱によってボイラー暖房に使うエネルギーがLEDより40%少なくなりました。韓国のエネルギー価格を用いた評価では、果実1キログラム当たりのエネルギー費用とCO₂排出量はHPSが最も低いと報告されました。
この報告が示すこと
著者らは、暖房を使う冬の温室では、照明の効率だけでなく、照明と暖房を合わせたエネルギー収支でランプを評価する必要があると結論づけています。この報告は韓国の冬季温室での比較であり、費用の評価にも韓国のエネルギー価格が用いられているため、その条件を踏まえて読む必要があります。
原著論文の著者・所属:Sejin Kim(Department of Horticultural Science, College of Agricultural and Life Sciences, Chungnam National University, Daejeon, 34134, South Korea)、Myeongsuk Kim(Department of Horticultural Science, College of Agricultural and Life Sciences, Chungnam National University, Daejeon, 34134, South Korea)、Mi Young Lim(Protected Horticulture Research Institute, National Institute of Horticultural and Herbal Science, Rural Development Administration, Haman, 52054, South Korea)、Joohee Nam(Protected Horticulture Research Institute, National Institute of Horticultural and Herbal Science, Rural Development Administration, Haman, 52054, South Korea)、Gyeong Lee Choi(Protected Horticulture Research Institute, National Institute of Horticultural and Herbal Science, Rural Development Administration, Haman, 52054, South Korea)、Mi Young Roh(Protected Horticulture Research Institute, National Institute of Horticultural and Herbal Science, Rural Development Administration, Haman, 52054, South Korea)、Dongpil Kim(Department of Horticultural Science, College of Agricultural and Life Sciences, Chungnam National University, Daejeon, 34134, South Korea)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sejin Kim, Myeongsuk Kim, Mi Young Lim, et al. Comparison of greenhouse microclimate, growth, yield and photosynthetic characteristics of cucumber (Cucumis sativus L.) under supplemental lighting with high-pressure sodium and light-emitting diode lamps. Scientia Horticulturae 2026-11-01. DOI: 10.1016/j.scienta.2026.115283. 原著ライセンス:CC BY.