著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:BULETIN ILMIAH NAGARI MEMBANGUN

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

活動のねらい

インドネシア西スマトラ州パダン・パリアマン県のコロン・ベンケという地域では、女性農業者グループ「KWTベンケ・サカト」が地元の食材を使った食品加工に取り組んでいます。これまでにココナッツオイル(VCO)、バナナチップス、果物を使ったアイスクリームなどの商品を手がけてきました。

食品をつくる際には、保存性や風味、食感を整えるために食品添加物が使われることがあります。安全に使うには、どの添加物が使用を認められているのか、それぞれどんな働きをするのか、どこまで使ってよいのかという上限量などを正しく理解しておく必要があります。著者らは、インドネシアの食品医薬品監督庁の規則や国際的な食品規格(コーデックス)の添加物基準に触れたうえで、この知識を実際の作業に結びつけることが大切だと述べています。

研究チームは事前に現地観察と、グループの役員や会員への聞き取りを行いました。その結果、添加物を働きに応じて選ぶこと、使用量の上限を守ること、安全に扱うことについて理解を深める必要があると判断しました。そこで、29人の会員を対象に、食品添加物を理解し、選び、安全に使う力を高めることを目的とした地域貢献活動を実施し、その前後の変化を評価しました。

学びと実践を組み合わせた進め方

活動は2024年9月から11月までのおよそ3か月間行われました。参加者自身がニーズの洗い出しから学習、実習、評価までに主体的に関わる「参加型」の方法がとられています。

まず講習で、食品添加物の基本的な考え方、使用が認められた添加物の分類、食品の中での働き、使用量の上限、そして規定に合わない使い方をした場合のリスクを学びました。講習では説明だけでなく、事例検討やグループ討論、グループの活動に身近な製品例も取り入れられました。

続いて、グループにとって身近な三つの製品、チリソース、魚のナゲット、果物のアイスクリームを題材に、実演と実習が行われました。参加者は、製品の目的に合った添加物を見極め、量や上限に注意しながら、材料の準備から加工、製品の取り扱いまで食品安全の原則を当てはめる練習をしました。著者らは、添加物の知識を中心に据え、それを複数の製品づくりと伴走支援に一続きで結びつけた点を、この活動の特徴として挙げています。

知識の変化は、講習前のテスト(事前テスト)と学習の最後のテスト(事後テスト)の得点を、満点に対する割合(%)で比べて評価しました。実技の力については、指導者が実習中に、添加物の選び方が適切か、量や上限に注意しているか、食品安全の原則を守っているかを観察しました。あわせて、少人数での話し合いや聞き取りで、参加者の理解や作業中に感じた難しさも確かめています。

主な結果

知識テストの平均得点は、事前の52.3%から事後には84.7%へと上がり、32.4ポイント増えたと報告されています。

実習中の観察では、参加者が製品の目的に合った添加物を選ぶ練習をし、使用量や上限を考慮し、加工工程で食品安全の原則を実践している様子が確認されました。著者らは、身近な製品を使った例示、指導者による実演、実際の作業、話し合い、伴走支援がかみ合ったことが得点の向上を後押しした可能性があると考察しています。学んだ内容をすぐに三つの製品づくりで試すことで、添加物の種類や働き、上限量といった考え方が具体的になったという見方です。

一方で、論文はこの結果の解釈に慎重です。参加者一人ひとりの事前・事後の得点を対応させたデータが残っていなかったため、得点の向上は平均値として記述的に報告するにとどめ、統計的に意味のある差の証拠とはみなしていません。テストの問題数や採点方法、妥当性・信頼性の確認に関する記録も十分ではありません。実技の観察についても、指標ごとの数値の集計や評価尺度の記録が完全には残っていないため、観察結果は記述的に分析され、数値による技能得点としては示されていません。また、活動終了後の追跡調査や、製品の品質・日持ちに関する検査も行われていません。

この報告が示すこと

この報告は、食品添加物についての知識を、地域のグループが実際につくっている製品の作業に結びつけて学ぶ一つの進め方を示しています。研究チームが確認できた範囲は、平均得点の向上と、活動期間中に観察された実践の様子に限られます。日々の生産で行動が長く続くかどうか、製品の品質や日持ち、事業としての持続性については、まだ結論が出ていないと著者らは明記しています。そのうえで、安全な使い方を定着させるには、活動後も継続して支援することが望ましいとしています。

原著論文の著者・所属:Yefrida Yefrida(Department of Chemistry, Faculty of Mathematics and Natural Sciences, Universitas Andalas, Padang, Indonesia)、Refilda Refilda(Department of Chemistry, Faculty of Mathematics and Natural Sciences, Universitas Andalas, Padang, Indonesia)、Rahmiana Zein(Department of Chemistry, Faculty of Mathematics and Natural Sciences, Universitas Andalas, Padang, Indonesia)、Safni Safni(Department of Chemistry, Faculty of Mathematics and Natural Sciences, Universitas Andalas, Padang, Indonesia)、Imelda Imelda(Department of Chemistry, Faculty of Mathematics and Natural Sciences, Universitas Andalas, Padang, Indonesia)、Refinel Refinel(Department of Chemistry, Faculty of Mathematics and Natural Sciences, Universitas Andalas, Padang, Indonesia)、Admi Admi(Department of Chemistry, Faculty of Mathematics and Natural Sciences, Universitas Andalas, Padang, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yefrida Yefrida, Refilda Refilda, Rahmiana Zein, Safni Safni, Imelda Imelda, Refinel Refinel, Admi Admi Peningkatan Kapasitas Kelompok Wanita Tani dalam Penggunaan Bahan Tambahan Pangan yang Aman di Korong Bengke, Padang Pariaman. BULETIN ILMIAH NAGARI MEMBANGUN 2026-09-30. DOI: 10.25077/bina.v9i3.874. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。