この研究は、トルコの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Metabolites

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

腰や首、関節などの筋骨格系の痛みを抱える人のなかには、しびれや灼けるような感覚といった「神経障害性疼痛」の特徴を伴う場合があります。神経障害性疼痛とは、神経そのものの異常や障害が関わっていると考えられる痛みのことで、筋肉や関節の炎症による痛みとは性質が異なります。

一方、ビタミンDの体内での充足度は、血液中の25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)という指標で測られます。研究チームは、筋骨格系疾患におけるビタミンDの状態と神経障害性疼痛との関連はまだはっきりしていないとしたうえで、筋骨格系の痛みを訴える成人において、血中25(OH)D濃度と神経障害性疼痛の特徴がどう関係するかを調べました。

調べ方

著者らは単一施設での分析的横断研究として、2024年6月から12月の間に受診した18歳から79歳の成人300人を対象としました。横断研究とは、ある時点の状態をまとめて観察する調査方法で、時間を追って変化を追跡するものではありません。

参加者は血中25(OH)D濃度によって、欠乏(20 ng/mL未満、105人)、不足(20以上30 ng/mL未満、117人)、充足(30 ng/mL以上、78人)の3群に分けられました。神経障害性疼痛の評価には、DN4、LANSS、painDETECT、およびショートフォーム・マクギル疼痛質問票という、いずれも痛みの性質を質問項目で点数化する評価票が用いられました。

また、年齢、性別、体格指数(BMI)、糖尿病、炎症性リウマチ性疾患、頸椎・腰椎の椎間板症、線維筋痛症といった要因の影響を統計的に調整したうえで、多変量ロジスティック回帰による解析が行われました。

報告された主な結果

論文によれば、25(OH)D濃度が低いほど神経障害性疼痛の点数は高くなっていました。DN4で陽性と判定された人の割合は、欠乏群で53.3%、不足群で43.6%、充足群で25.6%であったと報告されています(p < 0.001)。

充足群と比べると、ビタミンD欠乏はDN4陽性と関連し、調整オッズ比は3.53(95%信頼区間1.76〜7.08)、不足では調整オッズ比2.38(95%信頼区間1.22〜4.64)でした。オッズ比は、ある特徴の起こりやすさを群間で比べた指標です。さらに、25(OH)Dが10 ng/mL低いごとに、DN4陽性のオッズが46%高いという関連が示されました(調整オッズ比1.46、95%信頼区間1.14〜1.86)。LANSSおよびpainDETECTで13点以上という基準でも同様の関連がみられ、感度分析でもこの関連は保たれたと述べられています。

この報告の意味

著者らは、25(OH)D濃度が低いことが神経障害性疼痛の高い点数や陽性判定の多さと関連していたと結論づけています。ただし同時に、横断デザインであること、効果の大きさが中程度にとどまること、サプリメントの使用状況やカルシウム・副甲状腺ホルモンに関する変数が測定されていないことを挙げ、因果関係や診断への有用性、治療効果について結論を導くことはできないとしています。

つまりこの研究が示したのは、両者が同じ時点で一緒に観察されやすいという関連であり、ビタミンDの低さが痛みを引き起こすという証拠ではありません。筋骨格系の痛みを診る場面で、ビタミンDの状態という視点が検討に値することを示した報告といえます。

著者:Candost Ege Satilmis(Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Akdeniz University Hospital, Antalya 07058, Türkiye)、Bülent Akyüz(Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Akdeniz University Hospital, Antalya 07058, Türkiye)、Serpil Demir(Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Akdeniz University Hospital, Antalya 07058, Türkiye)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Candost Ege Satilmis, Bülent Akyüz, Serpil Demir. Association Between Serum 25-Hydroxyvitamin D Levels and Neuropathic Pain Features in Adults Presenting with Musculoskeletal Pain: A Cross-Sectional Study. Metabolites 2026-09-10. DOI: 10.3390/metabo16090667. 原著ライセンス:CC BY.