著者の所属・活動拠点の国は、トルコです。
掲載誌:Scientific Reports
ライセンス: CC BY-NC-ND 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
朝早くから活動的になる『朝型』の人と、夜遅くまで元気な『夜型』の人がいる。この体内時計の傾向は『クロノタイプ』と呼ばれ、睡眠や食事のリズムなど日々の生活習慣と結びついていることが知られている。では、クロノタイプは、偏食の傾向や自分の身体をどう評価するかといった、より個人的な感覚とも関係しているのだろうか。トルコのアフィヨン・コジャテペ大学スポーツ科学部の研究者らが、この問いを若年成人を対象に調べた研究をまとめた。
誰を対象に、何を調べたのか
研究の対象となったのは18歳から30歳までの554人で、平均年齢は22.20歳(標準偏差2.73)だった。参加者は直近でダイエットをしていない人に限定されている。研究は横断研究というデザインで行われ、必要な人数はG-Powerという統計ソフトを用いた分析によって事前に算出された。
調査では、参加者の基本的な属性を尋ねる質問票に加え、身長・体重などの身体計測、朝型・夜型の傾向を測る『Morningness–Eveningness Questionnaire(朝型夜型質問紙)』、偏食の程度を4つの下位側面から評価する『Adult Picky Eating Questionnaire(成人偏食質問紙)』、そして自分の身体をどれだけ肯定的に捉えているかを測る『Body Appreciation Scale-2(身体肯定感尺度)』が用いられた。
研究でわかったこと
結果として、クロノタイプと身体への肯定的評価(ボディ・アプリシエーション)の間には統計的に意味のある関連が見られた。具体的には、朝型の傾向が強い人は、中間型や夜型の人に比べて、自分の身体をより肯定的に評価する傾向が示されたという。
一方、クロノタイプと偏食との関係については、全体としては目立った影響は見られなかった。ただし例外として、食べ物の見た目や盛り付けなど『食品の提示のされ方』に対する好みの側面においてのみ、小さな効果が確認されたと報告されている。つまり、朝型か夜型かという体内時計の傾向は、偏食全般を強く左右するわけではないものの、食べ物の見せ方への敏感さとはわずかにつながっている可能性がある、という結果になる。
研究チームは、これらの結果から、体内時計の傾向は睡眠や食事のタイミングといった行動面だけでなく、自分の身体をどう感じ、評価するかという心理的な側面とも関連している可能性があると考察している。
この研究の位置づけと読むうえでの注意
この研究は、ある一時点で参加者の状態を調べる横断研究であり、クロノタイプが身体への肯定感を『高める』といった因果関係を証明するものではない。あくまで両者の間に統計的な関連が見られたという段階の知見であり、結論が確定したわけではない一つの研究として捉える必要がある。また、対象は18歳から30歳の若年成人に限られており、ダイエット中の人は除外されているため、異なる年齢層や状況にある人にそのまま当てはまるとは限らない。
まとめ
今回の研究では、朝型の生活リズムを持つ若年成人が、中間型・夜型の人に比べて自分の身体をより肯定的に評価する傾向にあることが示唆された。一方で偏食との関連は限定的で、食べ物の提示のされ方という一部の側面にのみわずかな関連が見られた。体内時計のタイプが、食習慣だけでなく自己の身体イメージという心理的な側面とも結びついている可能性を示す知見として、今後さらなる研究の広がりが期待される。
原著論文の著者・所属:H. Ertürk(Department of Physical Education and Sports, Faculty of Sport Sciences, Afyon Kocatepe University, Afyonkarahisar, Turkey)、Sebiha Gölünük Başpınar(Department of Physical Education and Sports, Faculty of Sport Sciences, Afyon Kocatepe University, Afyonkarahisar, Turkey)、Yücel Ocak(Department of Physical Education and Sports, Faculty of Sport Sciences, Afyon Kocatepe University, Afyonkarahisar, Turkey)
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):H. Ertürk, Sebiha Gölünük Başpınar, Yücel Ocak. The relationship of chronotype and behavioral factors with picky eating and body appreciation in young adults: a cross-sectional study. サイエンティフィック・リポーツ (2026). DOI: 10.1038/s41598-026-69320-w. 原著ライセンス: cc-by-nc-nd.