この研究は、トルコの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Healthcare
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ビーガンやベジタリアンの食生活では、特定の食品を食べないという選択が日常的に行われます。研究チームは、こうした食品の除外があるために、摂食障害の傾向や「オルトレキシア」と呼ばれる状態を評価しづらくなる可能性がある、と問題を提起しています。
オルトレキシアとは、健康的な食事へのこだわりを指す概念です。この研究では、それを二つの側面に分けて扱っています。一つは、健康によい食事を前向きに大切にする「ヘルシー・オルトレキシア」、もう一つは、こだわりが強まって苦痛や生活上の支障につながりうる「オルトレキシア・ネルボーサ」です。
そのうえで研究チームは、ビーガン、ベジタリアン、雑食という食生活のパターンごとに、摂食障害リスク、ヘルシー・オルトレキシア、オルトレキシア・ネルボーサがどう異なるかを比べ、他の要因を調整したうえでの関連を検討することを目的としました。
調べ方
これは、ある一時点の状態をまとめて調べる横断研究です。トルコで、便宜的な方法により集められた305人の女性が参加しました。内訳は、自分をビーガンと考える人が64人、ベジタリアンと考える人が71人、雑食と考える人が170人です。
参加者は、摂食態度を測る質問紙(Eating Attitudes Test-26)、オルトレキシアの二側面を測る尺度(Teruel Orthorexia Scale)、食品選択の動機を尋ねる質問紙(Food Choice Questionnaire)に回答しました。
分析では、雑食の女性を比較の基準として、ビーガンやベジタリアンの食生活との関連が調べられました。また、オルトレキシア・ネルボーサとビーガン対雑食の対比については、直線的でない関係の有無も検討されています。食品選択の動機に関する分析は、補足的な探索として位置づけられ、多重比較の補正が行われました。
報告された主な結果
研究チームの報告によると、調整後のモデルでは、摂食障害リスクが高いことは、ビーガン・ベジタリアンのいずれの食生活とも統計的に意味のある関連を示しませんでした。
一方、ヘルシー・オルトレキシアの得点が高いことは、ビーガンの食生活である見込みが高いことと関連していました(調整オッズ比1.177、95%信頼区間1.090–1.270)。オルトレキシア・ネルボーサとビーガンの食生活との関係は直線的ではなく(非線形性のp=0.006)、得点が低い~中程度の範囲では確率が下がっていき、得点が高い範囲では推定が不確かになった、と報告されています。ベジタリアンの食生活については、オルトレキシアのどちらの側面とも関連は見られませんでした。
補足的な探索分析では、体重管理を目的とする動機は、ビーガン(調整オッズ比0.424、95%信頼区間0.249–0.723)およびベジタリアン(同0.610、0.382–0.975)の食生活である見込みの低さと関連していました。また、食品へのなじみ深さを重視することは、ビーガンの食生活である見込みの低さと関連していました(同0.466、0.296–0.735)。
この研究が示すこと
著者らは、ヘルシー・オルトレキシアとオルトレキシア・ネルボーサが、ビーガンの食生活とそれぞれ異なる形で関連していたと結論づけています。
そのうえで、管理栄養士や医療者は、食生活のラベルだけから食行動の病理を推し量るべきではなく、食品を除外する動機、体重や体型に関する悩み、食事の硬直さ、苦痛、生活機能への支障といった点を個別に見ていく必要がある、と述べています。
なお、これは一時点の観察にもとづく研究であり、示されているのは関連であって、原因と結果の関係ではありません。
著者:Funda Işık(Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Health Sciences, Kastamonu University, 37150 Kastamonu, Türkiye)、Yaşar Şahin(Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Health Sciences, Kastamonu University, 37150 Kastamonu, Türkiye)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Funda Işık, Yaşar Şahin. Eating Disorder Risk, Healthy Orthorexia, and Orthorexia Nervosa Among Women Following Vegan, Vegetarian, and Omnivorous Dietary Patterns in Türkiye: A Cross-Sectional Study. Healthcare 2026-09-09. DOI: 10.3390/healthcare14182914. 原著ライセンス:CC BY.