著者の所属・活動拠点の国は、ポーランドです。

掲載誌:Annals of Animal Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

多くの鶏を集約的に飼育する養鶏では、鶏の健康と福祉が大きな課題とされています。研究チームが注目したのは、麻(ヘンプ)に含まれる成分のカンナビジオール(CBD)です。CBDは精神作用を示さない成分で、ストレスや炎症、酸化ストレス(体内で活性酸素などが過剰になった状態)を和らげる可能性や、体内の調節の仕組みの一つである「エンドカンナビノイド系」に働きかける役割が関心を集めています。

一方で、家禽へのCBD投与に関する研究はまだ限られていると著者らは述べています。そこで研究チームは、水に溶けるように加工したCBDの乳化液を採卵鶏の飲み水に加え、生産成績、卵の品質、ストレスの指標、腸の状態にどのような影響が出るかを調べました。

どのように調べたか

試験は15週間にわたって行われました。ローマン・ブラウン種の雌鶏180羽を5つのグループに分け、CBD乳化液を加えない対照群、乳化剤(成分を水に混ざりやすくする物質)だけを与えるグループ、そして体重1キログラムあたり20mg、40mg、80mgのCBDを飲み水で与える3つのグループを設けました。

期間中は、餌と水の摂取量、飼料要求率(生産に対してどれだけの餌が必要だったかを示す効率の指標)、産卵数を記録しました。さらに卵の品質や官能特性(見た目や味など人の感覚で評価する性質)を評価し、ストレスの指標としてコルチコステロン(ストレスに関わるホルモン)の値を、健康の指標として腸の組織の形を調べています。

主な結果

論文によると、CBDの量が多い40mgと80mgのグループでは餌の摂取量が減りましたが、そのほかの生産成績には影響が見られませんでした。卵黄の色は、対照群に比べてほかのすべてのグループで濃くなっており、著者らはこれをCBDではなく乳化剤によるものと考えています。

ストレスに関わるコルチコステロンの値は、20mgのグループで有意に低くなりました。研究チームはこれを、少ない量のCBDでストレスが和らいだ可能性を示すものと解釈しています。また、小腸の一部である空腸では、20mgのグループで絨毛(栄養を吸収する突起)が最も長く、絨毛の高さと陰窩(絨毛の根元にあるくぼみ)の深さの比も最も大きくなりました。

研究が示すこと

著者らは、少ない量のCBDは採卵鶏のストレス軽減や腸の健康を支える可能性がある一方、多い量では餌の摂取量の減少や腸の形態の変化と関連していたとまとめています。CBDは機能性の添加物として期待が持てるものの、適切な量や長期的な影響を明らかにするにはさらなる研究が必要だとしており、量によって表れ方が異なりうることが示された研究といえます。

原著論文の著者・所属:Sepideh Fallahi(Department of Environmental Hygiene and Animal Welfare , Wrocław University of Environmental and Life Sciences , Wrocław , Poland)、Łukasz Bobak(Department of Functional Food Product Development , Wrocław University of Environmental and Life Sciences , Wrocław , Poland)、Anna Lipińska(Department of Biostructure and Animal Physiology , Wrocław University of Environmental and Life Sciences , Wrocław , Poland)、Muhammad Umair Asghar(Department of Animal Nutrition and Feed Sciences , Wrocław University of Environmental and Life Sciences , Wrocław , Poland)、Katarzyna Olejnik(Department of Environmental Hygiene and Animal Welfare , Wrocław University of Environmental and Life Sciences , Wrocław , Poland)、Sebastian Opaliński(Department of Environmental Hygiene and Animal Welfare , Wrocław University of Environmental and Life Sciences , Wrocław , Poland)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sepideh Fallahi, Łukasz Bobak, Anna Lipińska, et al. Cannabidiol as a Water Additive: Impact on Performance, Egg Quality, Stress Reduction, and Gut Health in Laying Hens *. Annals of Animal Science 2026-10-06. DOI: 10.2478/aoas-2026-0016. 原著ライセンス:CC BY.