掲載誌:Asian Journal of Dairy and Food Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

乳製品に代わる飲み物をソルガムから

牛乳の代わりに、ナッツや穀物、種子などから作る「植物性ミルク」を選ぶ人が増えています。乳糖をうまく消化できない乳糖不耐症の人や乳製品にアレルギーのある人、食習慣や環境への配慮を重視する人などが背景にあると、著者らは述べています。原料には大豆、アーモンド、オーツ麦、米などが使われていますが、原料ごとに栄養成分や味、口当たりが異なるため、何を原料にするかは製品の品質を左右します。

研究チームが注目したのは、雑穀の一種であるソルガム(モロコシ)です。論文によると、ソルガムは多様な環境で育ち、比較的少ない水で栽培できる穀物で、クセの少ない風味をもちます。一方で、ソルガムを使った植物性ミルクについては、製法の標準化、品質評価、日持ちの検証を体系的に行った研究が限られていました。そこで著者らは、ソルガムからミルクを抽出し、風味をつけた植物性の飲料として成り立つかを調べました。

製法と風味づけの検討

研究チームは、ソルガムの粒を8時間水に浸してやわらかくした後、水と一緒にミキサーで細かく砕き、二重のガーゼでこしてミルク状の液を取り出しました。このとき、ソルガムと水の比率を1対1と1対2の2通りで比べ、得られる量(収率)、こした後に残るかすの割合、とろみ(粘度)、沈殿のしやすさを測りました。

続いて、抽出したミルクに砂糖6%を加え、バニラ、ローズ、バタースコッチの香料、またはチョコレートシロップ(4%)で風味をつけた試作品を作りました。風味をつけない対照品も用意し、酸性度、糖度、脂質・たんぱく質・炭水化物、鉄やカリウムなどを分析しました。味の評価では、食品技術学部の教員10人が色、香り、味、口当たり、総合的な好ましさを9段階で採点しました。最も好まれた試作品は75℃で15分間加熱殺菌し、ガラス瓶とペットボトルに詰めて4℃前後で冷蔵保存し、微生物の数や品質の変化を追いました。

主な結果:チョコレート味が高評価、ガラス瓶で長持ち

ソルガムと水の比率は1対2の方が適していると報告されています。収率は44.37%で1対1より有意に高く、かすの割合は55.62%と低く、沈殿は4.32%にとどまりました。著者らは、水が多いことでソルガムの成分が液体側に移りやすくなったためではないかと考察しています。

風味の異なる試作品はいずれも、すべての評価項目で9点満点中7点を上回りました。なかでもチョコレート味は総合評価8.85点、味8.75点、口当たり8.70点と最も高い評価を得ました。成分は風味による差が小さく、脂質は0.11〜0.15%、たんぱく質は0.52〜0.56%、炭水化物は7.93〜8.00%でした。鉄は100gあたり0.84〜0.95mg、カリウムは28.12〜33.16mgでした。ただし著者ら自身、たんぱく質が少ないためこの飲料を主要なたんぱく源とみなすべきではないとし、乳製品の栄養面での代わりとなるかを確かめるには、さらなる栄養評価や栄養素の強化が必要だと述べています。

チョコレート味の保存試験では、ペットボトルでは保存10日目から一般細菌が検出され始めたのに対し、ガラス瓶では25日目まで検出されませんでした。インドの食品規格に照らして細菌数やカビ・酵母の数が基準内に収まった期間は、ペットボトルで25日、ガラス瓶で45日でした。保存中は両容器とも酸性度が上がり、pHが下がっていきましたが、その変化はガラス瓶の方が緩やかでした。とろみはほぼ一定に保たれ、沈殿はわずかに増えました。著者らは、ペットボトルが酸素などの気体をわずかに通すことが、微生物の増えやすさに関係した可能性を挙げています。

研究が示すこと

この研究は、ソルガムを原料に、水との比率や風味づけを調整することで、味の評価が高く、冷蔵で一定期間品質を保てる植物性フレーバーミルクを作れることを示しました。著者らは、今回の実験条件のもとで、ソルガムのフレーバーミルクが乳糖不耐症の人にとって実現可能で持続可能な選択肢になりうると結論づけています。一方、栄養面で乳製品の代わりになるかはまだ確かめられておらず、今回の成果は、身近な雑穀を新しい飲み物へ生かす製法と品質の基礎を示したものといえます。

著者:Abhijeet Balasaheb Kothimbire、Kavita Amol Mane

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Abhijeet Balasaheb Kothimbire, Kavita Amol Mane. Development of Sorghum-based Flavoured Milk: A Vegan Alternative to Dairy Milk. Asian Journal of Dairy and Food Research 2026-10-14. DOI: 10.18805/ajdfr.dr-2365. 原著ライセンス:CC BY.