レンズ豆はタンパク質やミネラル、食物繊維、そして体によいとされる植物由来の成分を豊富に含む豆類の一種で、機能性食品としても注目されています。ただし、赤や緑、黒といった色や品種の違い、さらに調理という工程が、その栄養価にどう影響するのかは、これまで十分に分かっていませんでした。今回紹介する研究は、市販されている代表的な6種類のレンズ豆を対象に、生の状態と調理後の状態を比較し、栄養組成と機能特性がどう変化するのかを詳しく調べたものです。
6種類のレンズ豆、生の段階から違いがあった
研究チームは、赤・黄・緑・茶・フレンチグリーン・黒という6種類のレンズ豆について、生の状態でのミネラル、タンパク質、脂質、レジスタントスターチ(消化されにくいでんぷん)、食物繊維(水溶性・不溶性)、総フェノール含量などを測定しました。分析には誘導結合プラズマ質量分析法をはじめとする生化学的・生物物理学的な手法が用いられています。その結果、これらの栄養成分は品種によって明確な差があることが分かりました。たとえば鉄分は100gあたり4.6mgから6.8mgの範囲、タンパク質は25%から29%の範囲で品種ごとに異なり、いずれも黒レンズ豆で最も高い値が確認されました。
調理によって食物繊維やフェノール含量が大きく増加
この研究のもう一つの焦点は、調理の影響です。生の状態と比較すると、調理後のレンズ豆では複数の栄養指標が顕著に増加していました。具体的には、赤レンズ豆で総食物繊維が38%、レジスタントスターチが93%増加し、フレンチグリーンレンズ豆ではフェノール含量が110%増加、茶レンズ豆では保油力(油を保持する能力)が52%高まったことが示されています。研究チームは、調理工程がレンズ豆の最終的な栄養組成と機能特性を決定づける主要な要因であると結論づけています。一方で、保水力と保油力については、品種による差は栄養成分ほど大きくなく、比較的安定していたことも分かりました。
この研究をどう読むか
この研究は、6種類のレンズ豆を対象に生と調理後の状態を比較した一つの分析結果であり、これだけで健康への効果や品種間の優劣が確定したわけではありません。ここで示された増加率や成分値は、あくまで今回測定された条件下でのデータです。研究チームは、特に黒レンズ豆で示された高い数値をもとに、レンズ豆という食品群全体の栄養的な価値に注目していますが、これも今回の測定結果に基づく指摘として捉えるのが妥当でしょう。
まとめ
今回の研究では、レンズ豆の栄養組成が品種によって大きく異なる一方、調理という工程そのものが食物繊維やレジスタントスターチ、フェノール含量、保油力を押し上げる重要な要因であることが示されました。スーパーの棚に並ぶ色とりどりのレンズ豆を選ぶとき、こうしたデータは一つの参考になりそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:一般的に消費されるレンズ豆の栄養組成と機能特性:市販レンズ豆の種類と調理工程の影響(フーズ・2026年08月)