著者の所属・活動拠点の国は、リビアです。
掲載誌:AlQalam Journal of Medical and Applied Sciences
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
じんましんは、かゆみや赤み、膨疹(皮膚の一部が盛り上がる腫れ)が繰り返し現れる、よくある皮膚の病気です。皮膚の深い部分が腫れる血管性浮腫を伴うこともあります。食べ物のほか、心理的ストレス、ビタミンD不足、暑さなど、さまざまな要因が症状の引き金や悪化に関わる可能性が指摘されています。
著者らによると、リビアのザウィヤ市では、じんましんの実態やよくある食べ物の引き金を調べた研究がまだ少ないといいます。そこで研究チームは、二つの目的で調査を行いました。一つは、じんましんと関連して多く報告される食べ物を明らかにすることです。もう一つは、心理的ストレス、暑さへの曝露、ビタミンD不足といった食事以外の要因の影響を評価することです。
調査の方法
調査は2025年11月から2026年2月までの4か月間に行われました。対象は、ザウィヤ市のクリニックや病院でじんましんと診断された患者と、医療技術学部の学生です。参加条件は、15歳以上で、食物アレルギーが疑われた経験か、食後に皮膚の反応が出た経験があることでした。免疫を抑える治療を受けている人や、アレルギーと関係のない慢性の皮膚疾患を持つ人は除外されました。
参加者は自分で質問票に回答しました。質問は三つの部分に分かれていました。年齢や性別などの基本情報、じんましんの頻度・膨疹の持続時間・かゆみの強さ、そして食べ物と症状の関係です。最終的に200人の回答が分析され、要因ごとに症状の頻度やかゆみの強さに統計的な差があるかが調べられました。
主な結果
参加者の92%が女性でした。年齢は15〜20歳が57%、21〜30歳が33%を占め、若い世代が中心でした。ほぼ半数(48%)が毎日じんましんが出ると答え、膨疹は64%の人で1〜12時間続いていました。症状としてはかゆみが98%と最も多く、赤み(89%)、血管性浮腫(27%)が続きました。かゆみが中等度から重度だった人は82%でした。また、78%がビタミンD不足があると回答しました。
食事に関する要因では、症状を悪化させると自己申告された食べ物として、辛い食べ物が74%で最多でした。次いで食品添加物(52%)、トマト(41%)、乳製品(34%)、カフェイン(29%)、イチゴ(28%)が挙げられました。食べ方に関わる要因では、重い食事が71%、ファストフードの後に症状が出ることがあるという回答が68%にのぼりました。
食事以外の要因では、心理的ストレスが86%と最も多く挙げられました。暑さへの曝露は56%で、寒さを挙げた人は16%と暑さより少数でした。著者らは、この違いがリビアの気候と関係している可能性を述べています。薬を引き金に挙げた人は23%でした。
統計解析では、ビタミンD不足があると答えた人のほうが、不足がない人よりじんましんの発作回数が多いという結果でした(中央値で4回対2回)。また、辛い食べ物の摂取と心理的ストレスは、いずれも強いかゆみと統計的に有意な関連を示しました。一方、性別や年齢層による発作回数の差は統計的に有意ではありませんでした。
研究が示すこと
著者らは、じんましんには食事と食事以外の複数の要因が関わっていると結論づけています。論文の結論では、ビタミンD不足、暑さ、辛い食べ物、心理的ストレスがより頻繁な症状と関連するとされています。また、食品添加物、重い食事、トマト、乳製品が症状の重要な引き金として挙げられました。こうした要因を把握することが症状のコントロールに役立つ可能性があると、著者らは述べています。
ただし、この調査は限られた地域で行われ、情報は参加者自身の申告にもとづいています。示されたのは要因と症状との関連であり、それぞれの要因がじんましんを引き起こすことを確かめたものではありません。それでも、食習慣やストレス、気候といった日常の要因とじんましんの関係を、地域の患者の声から整理した調査といえます。
原著論文の著者・所属:Fahima Albeshti(Department of Medical Nutrition, Faculty of Medical Technology, University of Zawia, Zawia, Libya)、Ayah AL-Hanish(Department of Anesthesia and Intensive Care, Faculty of Medical Technology, University of Zawia, Libya)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Fahima Albeshti, Ayah AL-Hanish. Influence of Dietary and Non-Dietary Factors on Urticaria. AlQalam Journal of Medical and Applied Sciences 2026-08-10. DOI: 10.54361/ajmas.269821. 原著ライセンス:CC BY.