著者の所属・活動拠点の国は、ブルガリアです。
掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
健康的な暮らしへの関心が高まり、旅行や宿泊・飲食の分野でも、健康や栄養、心身の充実を意識した商品やサービスが求められるようになっています。スポーツの観戦や参加を目的とした旅行、いわゆるスポーツツーリズムでも、食事は体験の重要な一部になりつつあります。
この論文は、スポーツ選手やスポーツを目的に旅行する人々の栄養面と食の楽しみの両方のニーズに、健康的なレストランの商品がどのように応えられるかを検討しています。著者は、レストランが提供するものを「調理・料理づくり」と「ケータリング(飲食提供サービス)」という二つの柱に分けて考えています。
どのように調べたか
この研究は、既存の科学文献を体系的に分析し、理論面と実務面の知見をまとめる質的・概念的なアプローチに基づいています。
料理づくりについては、栄養の構成やカロリー、加工・調理の技術、味や香り、見た目といった感覚的な品質、鮮度、包装、健康的な食事の推奨への適合といった点から検討しています。ケータリングについては、サービスの質、利用者の体験、雰囲気、そしてスポーツイベント中の食事提供の組み立て方に注目しています。
評価の土台として、果物、野菜、全粒穀物、豆類、ナッツ、植物油を多くとり、加工食品や環境負荷の大きい食品を控えるという、人の健康と環境の両立をめざす「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」の考え方を取り入れています。また論文は、スポーツツーリズムにおけるレストランの商品を、飲食物、サービスの質、提供される場の雰囲気という三つの要素が組み合わさったものとして捉えています。
主な報告結果
論文は、スポーツ会場で健康的な食事が手に入ることが、選手や関係者、観客の栄養面の需要に応えるうえで欠かせない条件になっていると述べています。限られた時間の中で効率よく食事を提供する必要があるため、こうした需要には主に大手レストランチェーンや素早い提供を特徴とする店舗が対応していると整理されています。
著者の分析によると、成功している飲食事業者は、メニューの継続的な刷新、より質の高い食材の使用、サービスの改善、技術の近代化、設備への投資、スタッフ教育などに取り組んでいるとされます。スポーツをテーマにした店の雰囲気も体験を高めますが、利用者が店を選び、再び訪れるかどうかを左右する主な要因は、料理の質とサービスの効率であると論文は指摘しています。
さらに、競争力のある商品には、料理の質、栄養価、味や見た目、サービスの質、価格設定をうまく組み合わせることが必要だとしています。食品の栄養の良し悪しを分かりやすく表示する「ニュートリスコア」のような評価・表示の仕組みは、消費者に透明な情報を示し、健康的な選択を後押しする手段として位置づけられています。
研究が示す意味
この論文は、健康的な飲食サービスを、スポーツツーリズムの付け足しではなく、旅行の価値を形づくる中心的な要素の一つとして捉えるべきだと結論づけています。栄養バランスのとれた料理と質の高いケータリング、持続可能な取り組みを組み合わせることが、利用者の満足や選手の栄養面の支え、そして旅行先としての魅力の向上につながるというのが著者の見方です。食と健康、地域の食材、分かりやすい栄養情報を一体として考える視点を、スポーツと旅行の分野に示した研究といえます。
原著論文の著者・所属:Mincho Polimenov(Burgas State University "Prof. Dr. Assen Zlatarov")
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mincho Polimenov. HEALTHY FOOD SERVICES IN SPORTS TOURISM: A WELLNESS PERSPECTIVE. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-08-20. DOI: 10.5281/zenodo.22030160. 原著ライセンス:CC BY.