著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Unifunec Científica Multidisciplinar

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

心臓や血管の病気(心血管疾患)は、世界で最も多くの死因となっている病気のグループです。高血圧、糖尿病、肥満、運動不足、偏った食事などが、その危険因子として知られています。治療では食事療法が重要とされていますが、長年の食習慣を変えることや、家族の食事まで調整することは難しく、指示どおりの食事を十分に続けられない患者も少なくないと指摘されています。

著者らは、ブラジル・サンパウロ州の小都市サンタ・フェ・ド・スルにある病院(サンタ・カーザ)で心疾患の実態を調べました。入院患者の食習慣や生活習慣に注目し、その結果をもとに健康的な食事についての教育用冊子をつくることを目的としています。著者らは、こうした小さな地域では地元の状況を分析した研究が不足しており、効果的な取り組みにつなげにくいことを研究の背景に挙げています。

何を調べたか

研究チームは、病院の過去5年分の記録から、主な心疾患の発生状況や患者の特徴を調べました。あわせて、心疾患と診断された18歳以上の入院患者に、6か月間にわたって個別の聞き取りを行いました。決まった質問票を使い、食習慣、運動の程度、喫煙、飲酒、睡眠、自分の病気についての知識などを尋ねています。

聞き取りに参加したのは31人で、男性21人、女性10人でした。平均年齢は75.93歳(48〜96歳)で、多くは年金生活者でした。不整脈、心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、ペースメーカーやステントの使用など、さまざまな心臓の病気を抱える人が含まれています。

文献調査で集めた知見をもとに、研究チームは冊子を作成しました。内容は、心臓を守る食事、塩分(ナトリウム)とコレステロールの管理、退院後に健康的な食品を選ぶための工夫などです。冊子は聞き取りの後に患者へ手渡され、内容が分かりやすいかどうかをその場で、またはすでに退院した人には後日電話で確認しました。

主な結果

論文の要旨では、高血圧の割合が59.38%と報告されており、患者本人だけでなく家族にも多くみられる病気として位置づけられています。生活習慣では、定期的に運動している人は31人中6人にとどまりました。食事について医師や栄養士の管理を受けていた人は4人(12.9%)でした。超加工食品(工場で多くの加工を経た既製品の食品)を日常的に食べている人は17人(54.8%)で、半数を超えていました。

一方で、定期的に飲酒しない人は24人、食事で塩の量に気をつけている人は20人と、望ましい習慣も一部にみられました。健康的な食事の妨げとして時間やお金を挙げた人は4人だけでした。このことから著者らは、外的な事情よりも、食習慣や手軽さに影響された食品選びのほうが大きな問題だと考えています。

特に目立ったのは知識の不足です。自分の心臓病に良い食品を知っていた人は31人中7人、悪化させうる食品を知っていた人は3人にすぎませんでした。冊子については、参加者全員が「食品を選ぶときに役立つ」と答えました。「台所に置いておく」「家族みんなに見せる」といった声も寄せられています。冊子はその後、この病院の栄養ケアの手順に組み込まれ、入院中や退院時の説明に使われています。

研究が示すこと

この研究は、地方病院の心疾患の入院患者に、運動不足や超加工食品の常食といった生活上の課題が広くみられることを示しました。あわせて、どの食品が自分の病気に良いか悪いかを知らない人が多いことも明らかにしています。著者らは、この知識の不足が食事療法を続ける妨げになっていると考え、分かりやすく実用的な教育資料の必要性を訴えています。作成された冊子は、患者や家族が日々の食品選びを見直すための身近な道具として、研究から生まれた成果です。

原著論文の著者・所属:Djhulia Aparecida de OLIVEIRA(Centro Universitário de Santa Fé do Sul – Unifunec)、Isabela Theodoro do PRADO(Centro Universitário de Santa Fé do Sul – Unifunec)、Anelisa Doretto Freitas FURLAN(Centro Universitário de Santa Fé do Sul – Unifunec)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Djhulia Aparecida de OLIVEIRA, Isabela Theodoro do PRADO, Anelisa Doretto Freitas FURLAN. PREVALÊNCIA DE CARDIOPATIA NA SANTA CASA DE SANTA FÉ DO SUL E DESENVOLVIMENTO DE CARTILHA PARA ALIMENTAÇÃO SAUDÁVEL. Unifunec Científica Multidisciplinar 2026-08-14. DOI: 10.24980/ucm.v15i17.6395. 原著ライセンス:CC BY.