著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:BIOLINK (Jurnal Biologi Lingkungan Industri Kesehatan)
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ごみの最終処分場では、積み上げられた廃棄物を通り抜けた雨水などが汚れた液体(浸出水)となり、周辺の地下水に染み込むことがあります。そのため、処分場の近くで井戸水を使う地域では水質が悪化しやすく、下痢などの病気のリスクが高まると考えられています。
研究チームは、インドネシア・ジュンベル県のパクサリ最終処分場の周辺に住む人々を対象に、井戸水の水質と下痢の発生との関連を調べました。なお、ここで紹介する内容は論文の抄録に基づいています。
調査の方法
この研究は、ある一時点での状況を調べる「横断研究」と呼ばれる観察研究です。井戸水を使っている20世帯が調査に参加し、代表となる6か所の井戸から水を採取しました。
参加者への聞き取りや現地での観察に加え、水の物理的な性質、化学的な成分、微生物について検査が行われました。微生物の検査では、ふん便による汚染の目安となる大腸菌(エシェリヒア・コリ)の量を、統計的に推定する手法(最確数法)で調べています。集めたデータは、下痢の発生と各要因との関連を検討する統計手法(カイ二乗検定やロジスティック回帰分析)で分析されました。
主な結果
著者らによると、採取した井戸水のすべて(100%)から大腸菌が検出され、インドネシア保健大臣規則(2023年第2号)が定める飲料水の微生物基準を満たしていませんでした。
回答者のうち55.0%に下痢の発生がみられました。水の物理的・化学的な項目については、下痢の発生との統計的に意味のある関連は認められませんでした。一方、飲み水を煮沸するかどうかという家庭での習慣は、下痢の発生と統計的に有意な関連を示したと報告されています。
研究が示すこと
著者らは、井戸水の微生物学的な水質の悪さと、家庭での水の処理のしかたが下痢の発生に関わっていたと結論づけています。処分場周辺の井戸水が微生物で広く汚染されていたという結果は、こうした地域で水の安全性と家庭での扱い方の両方に目を向けることの大切さを示しています。ただし、この調査は限られた世帯と井戸を対象に一時点で行われた観察研究です。
原著論文の著者・所属:Elvinsyah Zidane(Universitas Jember)、Isa Ma’rufi(Universitas Jember)、Ristya Widi Endah Yani(Universitas Jember)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Elvinsyah Zidane, Isa Ma’rufi, Ristya Widi Endah Yani. ASSOCIATION BETWEEN WELL WATER QUALITY AND DIARRHEA INCIDENCE AROUND PAKUSARI FINAL DISPOSAL SITE JEMBER INDONESIA. BIOLINK (Jurnal Biologi Lingkungan Industri Kesehatan) 2026-08-17. DOI: 10.31289/biolink.v13i1.18221. 原著ライセンス:CC BY.