著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

乾燥方法はスープの質にどう影響するか

研究チームは、キノコの一種Dictyophora rubrovalvataの乾燥方法によって、調理したスープの品質や含まれる成分がどう変わるかを調べました。味に関わる成分と、試験管内で測定した生物学的な活性を比較し、加工方法との関係を捉えることが目的です。

比較したのは、真空凍結乾燥、熱風乾燥、遠赤外線乾燥、熱風と遠赤外線を組み合わせた乾燥の4種類です。それぞれの方法で乾燥させたキノコからスープを作りました。

味の特徴と多様な成分を比較

研究チームは、味の特徴を測る電子舌や光を使った分析に加え、抗酸化活性と、糖質の分解に関わる酵素の働きを抑える活性を試験管内で調べました。さらに、特定の成分に対象を絞らず幅広く調べるメタボロミクス解析を用いて、揮発しにくい成分の違いを比較しました。

光による分析の結果、どのスープでも調理中に、糖とアミノ酸などが反応するメイラード反応が起きていたことが示されました。この反応は、加熱を伴う乾燥方法を用いた群で、より顕著だったと報告されています。

併用乾燥で目立ったうま味関連成分と活性

4種類のうち、熱風と遠赤外線を組み合わせて乾燥させたキノコのスープは、うま味に関連する代謝物の量が最も多くなりました。また、抗酸化活性の指標であるDPPHラジカル消去能と鉄還元力、糖質の分解に関わるα-アミラーゼとα-グルコシダーゼの阻害活性でも、ほかの試料より優れた結果を示しました。これらは試験管内での測定結果であり、スープを飲んだ人の血糖値や健康への効果を示すものではありません。

成分解析では計716種類の代謝物が同定され、そのうち238種類が乾燥方法によって違いを示す成分として抽出されました。味に関わる主要なアミノ酸は12種類見いだされ、うま味・甘味・苦味に関わるアミノ酸のほか、有機酸や糖アルコールにも乾燥方法による有意な違いが報告されました。

著者らは、熱風と遠赤外線を組み合わせた乾燥が、風味と生物学的活性のバランスに優れ、このキノコのスープ加工に適すると結論づけています。今回の研究は、原料の乾燥方法の選択が、調理後のスープの味に関わる成分や測定される活性にも影響することを示しています。

原著論文の著者・所属:Jing Zhang(Engineering Research Center of Bio-Process, Ministry of Education, School of Food and Biological Engineering, Hefei University of Technology, Hefei 230601, China; Sericultural Research Institute, Anhui Academy of Agricultural Sciences, Hefei 230061, China)、Junhui Wang(Engineering Research Center of Bio-Process, Ministry of Education, School of Food and Biological Engineering, Hefei University of Technology, Hefei 230601, China)、Li Gao(Engineering Research Center of Bio-Process, Ministry of Education, School of Food and Biological Engineering, Hefei University of Technology, Hefei 230601, China)、Lei Zhang(Edible and Medicinal Mushroom Innovation Centre, Anhui Academy of Agricultural Sciences, Hefei 230001, China; Sericultural Research Institute, Anhui Academy of Agricultural Sciences, Hefei 230061, China)、Yuping Zhang(Edible and Medicinal Mushroom Innovation Centre, Anhui Academy of Agricultural Sciences, Hefei 230001, China; Sericultural Research Institute, Anhui Academy of Agricultural Sciences, Hefei 230061, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jing Zhang, Junhui Wang, Li Gao, et al. Study on the Effects of Different Drying Methods on Nutritional Quality of Dictyophora rubrovalvata Soup Based on Metabolomics. Foods 2026-11-02. DOI: 10.3390/foods15213930. 原著ライセンス:CC BY.