著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Pendas Jurnal Ilmiah Pendidikan Dasar

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究のねらい

インドネシア・メダンの研究チームは、市内で揚げ物を販売する小規模事業者「Smile Chicken」を対象に、品質をどう保っているか、品質に関わる費用がどの程度か、生産性はどうかを調べました。この店は2021年創業で、クリスピーチキンやナマズ、キノコ、ポテトなどの揚げ物を扱い、6人の従業員で営業しています。

著者らは、管理会計で使われる「品質コスト」という考え方を用いました。品質コストとは、品質を保つために、あるいは品質が保てなかったために生じる費用のことです。問題を未然に防ぐ「予防」、製品を点検する「評価」、店内で不良品を作り直す「内部失敗」、客の苦情に対応する「外部失敗」の4つに分けて考えます。論文によると、店では品質関連の費用がこの4分類で整理されておらず、1日の生産目標と実績の差も説明できていませんでした。研究チームは、こうした状況を具体的に記述することを目的としました。

調べ方

研究は、1つの事業者を詳しく見る事例研究として行われました。統計的な検証ではなく、実態の記述を目的としています。店の現場責任者1人に、日を変えて2回、半構造化インタビューを行いました。半構造化インタビューとは、あらかじめ質問項目を用意しつつ、回答に応じて柔軟に質問を加える聞き取り方法です。

得られた金額や生産量には、目標達成率や従業員1人あたりの生産量といった、割合や比率の簡単な計算を加えました。回答者が見積もりとして答えた数値は、監査済みの数値としては扱っていません。幅のある数値として示すか、その中間値を用いて解釈しています。

主な結果

店では、書面化したレシピと分量の基準を使い、温度計で揚げ油の温度を測り、油を毎日交換していました。さらに、現場責任者とレジ担当者が、販売前に出来上がりを確認していました。不良品や客からの苦情は「ほとんど起きない」と報告されています。挙げられた例は、火の通りが不十分な製品と注文の取り違えで、不良品は新しい材料で作り直していました。

回答者の見積もりでは、品質を保つための日常的な支出は月3,000万〜3,500万ルピア、苦情・注文違い・不良品による損失は合わせて月約20万ルピアでした。中間値で見ると、品質関連の支出は月約3,270万ルピアで、そのうち失敗に関わる費用は約0.6%にとどまります。ただし著者らは、この日常的な支出には原材料費が含まれているため、数字は慎重に解釈すべきだと述べています。

生産量は、1日250食の目標に対して実績が約200食で、達成率は約80%でした。従業員1人あたりでは1日約33食です。作った製品はほぼすべて販売可能でした。このため著者らは、生産性の主な課題は不良品ではないと結論づけています。課題は1日約50食の目標との差であり、その原因は今回のデータでは分からないとしています。需要が目標に届いていない可能性や、工程の能力に限りがある可能性は挙げられていますが、追加のデータがなければ判断できないとされています。

この研究が示すこと

著者らは、店で行われている品質管理が製品の安定に役立っている一方、記録の仕組みはまだ発展の余地があると指摘しています。具体的には、品質コストを4分類に分けて記録すること、不良品や作り直しの費用を記録すること、目標と実績の差の原因を探ることを提言しています。

なお、この研究は1店舗・1人の回答者に基づいており、数値はいずれも回答者の見積もりで、帳簿による確認はされていません。著者らも、結果を一般化することはできないと明記しています。それでも本研究は、小規模な飲食店で品質の維持と生産量の把握を合わせて考えるうえで、日々の記録が判断の土台になることを、具体的な事例で示しています。

原著論文の著者・所属:Kayla Pratiwi(Universitas Negeri Medan)、Felicia Dinata Pane(Universitas Negeri Medan)、Andhita Dean Vega(Universitas Negeri Medan)、Putri Kemala Dewi Lubis(Universitas Negeri Medan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Kayla Pratiwi, Felicia Dinata Pane, Andhita Dean Vega, et al. ANALISIS KUALITAS PRODUK, BIAYA KUALITAS, DAN PRODUKTIVITAS PADA UMKM SMILE CHICKEN. Pendas Jurnal Ilmiah Pendidikan Dasar 2026-10-15. DOI: 10.23969/jp.v11i4.70797. 原著ライセンス:CC BY.