大学生活は、実家を離れての一人暮らしや授業のプレッシャー、限られた予算など、食生活が乱れやすい条件が重なりやすい時期だといわれます。パキスタン・ラホールにある6つの大学の学生を対象に、実際にどのような食事パターンや栄養習慣が見られるのかを調べた研究が発表されました。学業のストレスや生活環境の変化、経済的な事情が学生の食事にどう影響しているのかを、質問票を用いた調査によって明らかにしようとしたものです。

どのように調べたのか

どのように調べたのか

調査は2026年3月から6月にかけて、ラホール市内の6つの大学に在籍する学生を対象に、便宜的抽出法(調査に協力できる対象者を集める方法)によって実施されました。最終的に400人の大学生からデータが得られています。調査には、23項目からなる食品摂取頻度の質問と、14項目からなる食習慣を評価する尺度、さらに参加者の社会人口統計学的な情報(家庭環境や学年など)を尋ねる質問票が使われました。得られたデータはSPSS(統計解析ソフト)version 23を用いて解析され、家庭背景などの属性と食事の適切さとの関連をカイ二乗検定で調べたほか、食行動に影響する要因を探るために重回帰分析とピアソンの相関分析が行われています。

調査でわかったこと

食習慣を評価する尺度の平均得点は29.2点(標準偏差3.04)となり、研究チームはこれを「まずまず(moderate)」の食行動を示す水準と位置づけています。全体として、適切な食事パターンを維持できていた学生は全体の3分の1程度にとどまり、多くの学生は不十分な食事パターンにあったと報告されています。

家庭環境や学年といった属性の多くは、食事の適切さとの間に統計的に意味のある関連は見られませんでした(p値が0.05を上回る、つまり偶然の範囲と区別しにくい結果)。そのなかで、重回帰分析からは父親の学歴が中等教育レベルであることが、栄養の適切さを高める方向にはたらく要因として挙がった一方、4年生であること(大学生活の最終学年にあたる時期)はむしろ栄養の適切さを下げる方向にはたらく要因として示されています。

また相関分析では、健康的な食品の摂取は果物や野菜の摂取量と強い正の関連を示し(相関係数0.727)、乳製品の摂取(同0.492)や、加工食品の摂取に関する全般的な食習慣(同0.400)とも関連が見られたと報告されています。いずれも統計的に意味のある関連とされていますが、これは「一緒に動く傾向がある」ことを示すものであり、原因と結果の関係を証明するものではない点には注意が必要です。

この研究をどう読むか

この研究は、ラホールの6大学から便宜的に集めた400人という特定の集団を、決められた期間内に一度だけ調査した横断研究です。そのため、ここで得られた傾向がパキスタンの大学生全体、まして他の国や地域の学生に同様に当てはまるかどうかは、この研究だけからは判断できません。また食事内容や習慣は自己申告の質問票に基づいており、実際の摂取量を客観的に測定したものではない点も踏まえて読む必要があります。今回の要旨や結果には日本の食品や食習慣への言及はなく、著者の所属機関についても具体的な情報は示されていません。

まとめ

今回の調査では、ラホールの大学生の食習慣は総じて「まずまず」の水準にあり、しっかりとした食事パターンを保てている学生は全体の3分の1程度にとどまることが示されました。果物・野菜や乳製品の摂取、加工食品との付き合い方が健康的な食生活と関連していたことも報告されています。研究チームは、大学や政策担当者、医療従事者が栄養教育のプログラムを整えたり、手頃な価格で健康的な食品を選べる環境を整備したりすることの重要性を指摘していますが、これは一つの横断研究から得られた知見であり、今後さらなる研究の積み重ねが必要といえるでしょう。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Neha Tahir, Minahil Shahzad. Dietary Patterns and Nutritional Habits of Students at Six Different Universities of Lahore: A Cross-Sectional Study in Lahore, Pakistan, 2026. 食品・栄養の進歩 (2026). DOI: 10.66540/afn/2026.1029.