甘い炭酸飲料やジュースなどの「加糖飲料」は、心臓病や肥満、2型糖尿病との関連がこれまでも指摘されてきました。ただし、こうした飲料をどれくらい飲んでいるかという「量」の研究は多くても、いつ、どこで、なぜ飲むのかという「消費の場面」に注目した研究は十分に行われてきませんでした。パキスタン・ラホールの18歳から60歳までの成人を対象に、この点を調べた研究が発表されました。
どんな方法で調べたのか
この研究では、無作為抽出という方法で対象者を選び、家庭・大学・病院といった異なる場所から幅広く回答を集めています。集めたデータは、単純な集計(記述統計)に加えて、カイ二乗検定や多変量ロジスティック回帰分析という統計手法を使って分析されました。これにより、年齢層や民族的背景、収入といった属性と、加糖飲料を飲む場所・理由・機会との間にどのような関連があるかを検討しています。
研究でわかったこと
調査対象の成人のうち約57%が、加糖飲料を少なくとも週7回、つまり平均して1日1回程度のペースで摂取していると報告されました。飲む場所としては家庭が最も多く67.8%を占め、その理由として最も多く挙げられたのは「味が良いから」で47.5%でした。また、飲む機会としては特別なイベントの場が最も多く、46.8%を占めています。
年齢層による違いも見られ、友人や家族との食事の場面では、35歳から49歳の中年層のほうが50歳以上の年齢層よりも加糖飲料の摂取が多い傾向が示されました。一方、特別なイベントの場面では、パシュトゥーン(パターン)系の人々は他の民族的背景を持つ人々に比べて摂取が少ない傾向があったとされています。レストランでの摂取については、若い年齢層と高齢層の双方で多い傾向が見られました。さらに、車の中での摂取については、シンド系の人々が他の人々よりも多く、月収5万パキスタン・ルピー台の層でも特徴的な傾向が確認されたとされています。
この研究の位置づけと読むうえでの注意
この研究は、加糖飲料の摂取量そのものではなく、消費が起こる場所・理由・機会というこれまであまり注目されてこなかった側面に焦点を当てた点に特徴があります。ただし、これはラホールという一つの都市の成人を対象にした一つの調査であり、得られた傾向がほかの地域や集団にもそのまま当てはまるかどうかは、この研究だけでは判断できません。年齢層や民族的背景ごとの違いも報告されていますが、これらはあくまで統計的な関連であり、原因と結果の関係を直接示すものではない点にも留意が必要です。
まとめ
加糖飲料の摂取をめぐっては、量だけでなく「いつ、どこで、なぜ飲むか」という生活場面に注目することが、摂取行動を理解するうえで一つの手がかりになりうることを、この研究は示唆しています。今後、こうした知見がほかの地域や集団でも検証されていくことが期待されます。
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Azmat Ullah Khan, Alina Rahat. Reasons, Locations and Occasions for Consuming Sugar-Sweetened Beverages among Adults of Lahore, Pakistan. アドバンシズ・イン・フード・アンド・ニュートリション (2026). DOI: 10.66540/afn/2026.1016.