大学に入学したばかりの1年生にとって、新しい環境に慣れることは簡単ではありません。授業の進め方、人間関係、生活リズムなど、変化に対応しなければならない場面が多く、その過程でストレスを抱えることも少なくありません。こうした『キャンパス生活への適応』は、食事のとり方など健康に関わる行動にも影響しうると考えられていますが、インドネシアの保健医療系学生を対象にこの関係を調べた研究はこれまで限られていました。今回紹介する研究は、インドネシアの保健医療系大学の1年生を対象に、キャンパス生活への適応と食事パターンの関連を調べたものです。
研究の背景と方法
研究チームは、1年生5人を対象にした予備調査で、多くの学生が最初の学期に食事管理の難しさを感じていたことを確認したうえで、本調査を行いました。本調査は相関関係を調べる横断研究というデザインで、36人の学生が対象となりました。回答者の81%が女性で、69%が思春期(青年期)の年齢層に該当していました。
キャンパス生活への適応度は『Student Adaptation to College Questionnaire(SACQ)』という質問票で、食事パターンは『Adolescent Food Habits Checklist(AFHC)』という質問票で、それぞれ測定されました。得られたデータは、スピアマンの順位相関係数(Spearman's rho)という統計手法を用いて分析されました。
研究でわかったこと
その結果、大半の学生(92%)はキャンパス生活への適応度が『中程度』であり、同じく92%の学生が『健康的』な食事パターンを示していたと報告されています。
さらに、キャンパス生活への適応度と食事パターンの間には、統計的に有意な正の相関関係が見られました(p<0.001、r=0.734)。これは、キャンパス生活への適応度が高い学生ほど、より健康的な食事パターンを示す傾向があったことを示唆しています。
この研究の位置づけと注意点
この結果を踏まえて、研究チームは、学生相談やカウンセリング、ストレスマネジメントプログラム、食事に関する教育など、大学が主体となった健康増進プログラムを提供することの意義を挙げています。
ただし、この研究は36人という限られた人数を対象にした一時点の横断調査であり、適応度と食事パターンの間に相関関係が見られたことをもって、一方が他方の原因になっていると断定できるものではありません。また、回答者の多くが女性であったことなど、対象集団の偏りにも留意が必要です。一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではない点に注意して読む必要があります。
まとめ
今回の研究では、インドネシアの保健医療系大学1年生を対象に、キャンパス生活への適応度と食事パターンの関連を調べたところ、両者の間に有意な正の相関があったことが報告されています。新入生の健康的な食習慣を支えるうえで、大学生活への適応を後押しする取り組みが一つの視点になりうることが示唆されていますが、さらなる研究の積み重ねが必要です。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:インドネシアの保健医療系1年生におけるキャンパス生活への適応と食事パターン:横断研究(国際公衆衛生科学ジャーナル・2026年08月)