著者の所属・活動拠点の国は、インドです。
掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究のねらい
食べることは、体に栄養を取り込むだけの行為ではありません。誰が食材を買い、誰が料理し、いつ誰と食卓を囲むのかには、家族の関係や社会のあり方が表れます。著者は、都市化や働き方の変化によって、人々の食べ方、食事の共有の仕方、家の外での食事が変わってきていることに注目しました。
この研究の目的は、インド北部ハリヤーナー州のグルガオン(グルグラム)で働く専門職の人々について、食習慣と、何を食べるかの選択に影響する要因を調べ、食習慣と社会的な要因とのつながりを分析することです。グルガオンは首都圏に近く、急速な都市化によって金融・産業の拠点となった都市で、全国から仕事を求めて人が集まっています。著者は、こうした都市化やグローバル化がライフスタイルと食のあり方の変化に関わってきたと位置づけています。
どのように調べたか
調査は質問票によるアンケートで行われました。市内の市場4か所を無作為に選び、25〜65歳の働く人164人から回答を得ています。回答者の男女比はほぼ半々で、大半は45歳以下の若い世代から中年層でした。半数近くが大学院修了者で、多国籍企業の技術者・管理職のほか、医師、自営業、教員、看護師など、さまざまな職業の人が含まれています。月収10万ルピー以上の人が半数近くを占め、著者はこの集団を比較的高所得の層とみています。
質問では、食事を抜く頻度、週末の食事の場所、家族と食事をする頻度、お祝いの場所、間食の回数、調理済み・すぐ食べられる食品を家で使う頻度などを尋ねました。
主な結果
最もよく抜かれる食事は朝食でした。回答者の半数が週に1回以上朝食を抜いており、毎日抜く人も6.1%いました。一方、昼食を一度も抜かない人は90%、夕食を抜かない人は79.9%に上りました。回答者からは、朝は職場へ急ぐため食事をとらず、牛乳やシェイクで済ませるという声や、夕食は家族や友人とゆっくり過ごせる時間だという声が寄せられました。
週末の食事は、家で食べる人が47%と最も多く、レストランで食べる人が26.2%、外から料理を取り寄せる人が18.3%でした。収入別に見ると、月収10万ルピー未満の人では67.1%が週末を家で食べることを好んだのに対し、10万〜30万ルピーの人では25%、30万〜50万ルピーの人では22.2%にとどまりました。著者は、収入が高いほど外での食事を好む傾向がはっきり見られると報告しています。
家族との食事については、1日に1回以上家族と食べる人が合わせて約半数で、その食事はたいてい夕食でした。一方で、週に1回や月に1回しか家族と食べられない人も少なくありません。著者は、忙しい勤務や、別の都市に住んでいることが、家族で食卓を囲む機会の少なさの主な理由だとしています。
お祝いの場面では、50.6%がレストラン、25.6%がファストフード店を選び、約4分の3が家の外で祝うことを好んでいました。家で特別な料理を作って祝う人は13.4%でした。また、ほとんどの人が1日に1回以上間食をとっており、間食をしない人は4.3%だけでした。間食は多くの場合、昼食後から夕食前にとられていました。調理済みの手軽な食品は、48.8%が「ときどき」、15.9%が「よく」家で使っており、疲れているときや時間がないときに便利だという理由が挙げられました。
この研究が示すこと
著者らの結論は、都市で働く専門職の人々は料理に十分な時間を割けず、外の食事に頼りがちだというものです。余暇の過ごし方も外食を後押ししており、収入の高さと職場の文化が外で食べる機会を増やしているとしています。そのうえで、現代では外食を避けることは難しいため、外の食事の選択肢が健康的で新鮮なものであれば役立ちうると述べています。
なお、この調査はいわゆるサイバーシティであるグルガオンで行われたもので、文化や地域の違いがあるため、インド南部や北東部、さらに世界全体にそのまま当てはめることはできないと著者は断っています。この研究は、働き方や収入、住まいといった暮らしの条件が、一人ひとりの食卓のあり方に深く結びついていることを、具体的な回答を通して伝えています。
原著論文の著者・所属:Monika Sehrawat(Assistant Professor, Govt. College Sec-9 Gurugram, Haryana, India)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Monika Sehrawat. Work, Lifestyle, and Food Consumption Practices: A Sociological Study of Professionals in Gurugram. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-08-04. DOI: 10.5281/zenodo.21886723. 原著ライセンス:CC BY.