この研究は、イランの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Nutrition & Metabolism
ライセンス: CC BY-NC-ND 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
「甘い飲み物や加工食品を控えて、野菜や魚を多く食べる」。こうした食習慣が体重管理に良いとはよく言われますが、子どもの脂肪肝リスクとも関係しているのでしょうか。過体重や肥満のある子どもでは、肝臓に脂肪がたまる「代謝機能障害関連脂肪肝疾患(MAFLD)」が増えていることが知られています。今回紹介する研究は、肥満予防を意識した食事パターンとこの脂肪肝リスクとの関連を調べたものです。
研究でわかったこと
研究チームは、過体重または肥満のある子ども・思春期世代505人を対象に横断研究を行いました。横断研究とは、ある一時点でのデータを集めて関連を調べる手法です。
この研究では「食事性肥満予防スコア(DOS)」という指標が使われました。DOSは、147項目からなる食物摂取頻度調査をもとに算出されます。果物・野菜・豆類・ヨーグルト・ナッツ・魚・植物性/動物性たんぱく質の比率など、肥満予防に望ましいとされる13の食品群の摂取状況を点数化したものです。逆に、赤身肉・加工肉・精製穀物・動物性の飽和脂肪・超加工食品・加糖飲料が多いと、スコアが下がる仕組みになっています。
脂肪肝の有無は、超音波検査での脂肪沈着の所見と、年齢別BMIのZスコアが1以上であることを組み合わせて判定されました。これは国際的な小児向けの診断基準に沿ったものです。
対象者505人のうち、196人(38.8%)がMAFLDと判定されました。年齢や性別などの影響を統計的に調整したうえで分析したところ、DOSが高いグループほどMAFLDのオッズが低いという結果でした。スコアが最も高い4分の1のグループは、最も低いグループに比べてオッズが0.45倍(95%信頼区間0.25〜0.83)だったと報告されています。
また、DOSが1標準偏差分高くなるごとに、MAFLDのオッズはおよそ29%低い(オッズ比0.71、95%信頼区間0.58〜0.86)という関連も示されました。この関連は、食後の血糖上昇の程度を示す指標や、中性脂肪、インスリン抵抗性の指標(HOMA-IR)を追加で調整した後も、同様に見られたということです。
スコアとリスクの関係を詳しく描いたモデルでは、DOSが高くなるほど段階的にオッズが下がっていく傾向がうかがえました。さらに探索的な分析では、男児や10歳未満の子どもで関連がより強く見られる傾向があったとされていますが、これはあくまで探索的な結果であり、今後の検証が必要な位置づけです。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は横断研究であるため、ある一時点での食事パターンと脂肪肝の状態を照らし合わせたものです。そのため「肥満予防型の食事を続けたから脂肪肝が防げた」という前後関係や因果関係までは、この研究だけでは確認できません。
男児や10歳未満で関連が強いという結果も、あらかじめ立てた仮説を検証したものではなく、探索的な分析で見えてきた傾向です。論文中でも、この点は今後の仮説検証型の研究で確かめる必要があると述べられています。
研究チーム自身も、食事の見直しがMAFLD予防の標的になりうるという考えは、今後の追跡調査(縦断研究)で確認される必要があるとしています。
まとめ
この研究では、過体重・肥満のある子ども505人を対象に、肥満予防を意識した食事パターンのスコアが高いほど、脂肪肝(MAFLD)のオッズが低いという関連が確認されました。血糖負荷やインスリン抵抗性を考慮しても関連は保たれていたということです。ただし横断研究という性質上、因果関係を示すものではなく、一つの研究として得られた関連にとどまります。今後、追跡調査によってこの関連がどこまで確かめられるか、続報が注目されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):過体重・肥満児における食事性肥満予防スコアと代謝機能障害関連脂肪肝疾患オッズとの関連:横断研究(ニュートリション・アンド・メタボリズム・2026年08月)
著者:Ali Nikparast(Department of Clinical Nutrition and Dietetics, Faculty of Nutrition Sciences and Food Technology, National Nutrition and Food Technology Research Institute, Shahid Beheshti University of Medical Sciences, Tehran, Iran)、Mohsen Shaygantabar(Department of Clinical Nutrition and Dietetics, Faculty of Nutrition Sciences and Food Technology, National Nutrition and Food Technology Research Institute, Shahid Beheshti University of Medical Sciences, Tehran, Iran)、Mobina Imannezhad(Department of Nutrition, Faculty of Medicine, Mashhad University of Medical Sciences, Mashhad, Iran)、Elahe Etesami(Department of Nutrition, SR.C., Islamic Azad University, Tehran, Iran)、Hanieh‐Sadat Ejtahed(Endocrinology and Metabolism Research Center, Endocrinology and Metabolism Clinical Sciences Institute, Tehran University of Medical Sciences, Tehran, Iran)、Mohammad Hassan Sohouli(Pediatric Gastroenterology and Hepatology Research Center, Pediatrics Centre of Excellence, Children’s Medical Center, Tehran University of Medical Sciences, Tehran, Iran)、Pejman Rohani(Pediatric Gastroenterology and Hepatology Research Center, Pediatrics Centre of Excellence, Children’s Medical Center, Tehran University of Medical Sciences, Tehran, Iran)、Golaleh Asghari(Department of Clinical Nutrition and Dietetics, Faculty of Nutrition Sciences and Food Technology, National Nutrition and Food Technology Research Institute, Shahid Beheshti University of Medical Sciences, Tehran, Iran)