非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、お酒をあまり飲まない人でも肝臓に脂肪がたまってしまう状態で、近年世界的に注目されている健康課題です。食事が発症に関わることは知られてきましたが、バングラデシュの成人においてどのような食事パターンがNAFLDと関連しているのかについては、これまで十分な研究がありませんでした。今回紹介するのは、こうした背景のもとバングラデシュの首都ダッカで行われた研究です。

この研究では、ダッカの三次医療機関を受診した成人400人が対象となりました。超音波検査でNAFLDと確認された200人(症例群)と、そうでない200人(対照群)を比較する「症例対照研究」というデザインです。食事の内容は、169品目からなる検証済みの半定量食物摂取頻度調査票を用いて、過去1か月分の摂取状況を尋ねる形で調べられました。

研究でわかったこと

得られたデータは、24種類の栄養素と26の食品グループをもとに、統計的な手法(主成分分析)によっていくつかの「パターン」に整理されました。その結果、食品グループからは「エネルギー密度の高い混合パターン」「果物・乳製品パターン」「伝統食と加工食品の混合パターン」「健康的な植物性食品パターン」の4つが、栄養素からは「植物性の微量栄養素が豊富なパターン」「動物性たんぱく質が豊富なパターン」「不飽和脂肪が豊富なパターン」「ビタミンB群が中心のパターン」の4つが見いだされました。これらはそれぞれ、食事の違い全体のおよそ67%、32%を説明するものだったとされています。

年齢や身体活動量などの影響を統計的に調整したうえで解析したところ、いくつかの興味深い関連が報告されています。まず「健康的な植物性食品パターン」については、最も摂取量が少ないグループと比べて、2番目に摂取量が多いグループでNAFLDのオッズ(なりやすさの指標)が低いという関連が見られました(調整オッズ比0.48)。また「不飽和脂肪が豊富なパターン」や、ビタミンEが豊富で炭水化物が少ない食事についても、摂取量が3番目に多いグループでNAFLDのオッズが低いという関連が示されました(調整オッズ比0.40)。「ビタミンB群が中心のパターン」も、調整前の解析では摂取量が最も多いグループでオッズの低さと関連していましたが、他の要因を調整した後にはこの関連は統計的に有意ではなくなったと報告されています。

なお、この研究ではNAFLDの症例群と対照群との間で、身体活動量や糖尿病の有無、BMI(体格指数)にも差があったことが確認されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、症例と対照を比較する「症例対照研究」という手法で行われたものであり、食事パターンとNAFLDとの間に統計的な関連が見られたことを示すものです。ある食品や栄養素を摂ればNAFLDを予防できる、あるいは治療できるということを証明したものではない点には注意が必要です。また、対象はバングラデシュ・ダッカの医療機関を受診した成人であり、食事調査は自己申告に基づくものです。研究チームは、全粒穀物や野菜、魚、良質な脂肪、抗酸化作用のある栄養素を多く含む食事パターンが、NAFLDのオッズの低さと関連していたとまとめており、こうした知見をバングラデシュの非感染性疾患対策の指針づくりに役立てる必要性を指摘しています。

まとめ

今回紹介した研究では、バングラデシュの成人を対象に、健康的な植物性食品を中心とした食事パターンや不飽和脂肪が豊富な食事パターンが、NAFLDのオッズの低さと関連していることが示唆されました。あくまで一つの研究であり、これによって結論が確定したわけではありませんが、日々の食事のバランスについて考えるうえで一つの参考情報といえそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:食事パターンと非アルコール性脂肪肝疾患:バングラデシュにおける施設ベース症例対照研究(バイオリサーチ・コミュニケーションズ・2026年07月)