著者の所属・活動拠点の国は、イランです。

掲載誌:Scientific Reports

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

なぜ「縮み」を測りたいのか

果物や野菜を乾燥させると、微生物による腐敗を防ぎ、長く保存できるようになります。一方で、水分が抜けるにつれて組織が縮み、表面のひび割れや変形、水で戻したときの戻りにくさにつながることがあります。特に薄く切って乾燥させる方法は、乾燥時間が短く仕上がりもそろいやすい反面、縮みすぎると見た目が損なわれます。さらに、その後の包装や保管で割れやすくなることもあります。

これまで縮みの測定には、マイクロメーターなどの精密器具や、押しのけられた液体などの量から体積を求める方法が使われてきました。しかし、これらは試料を乾燥環境から取り出して物理的に測る必要があります。そのため時間がかかり、試料を傷めたり誤差が生じたりしやすいという課題がありました。カメラで平面的に撮影する方法もありますが、小さな変化を捉えにくく、立体的な情報が得られません。

先行研究では、3Dレーザー計測によって、プラムやイチジクのように丸ごと乾燥させる食品の縮みを推定できることが示されていました。ただし、薄切りの試料を対象に、3Dデータから縮みを直接計算できるかは調べられていませんでした。研究チームはこの点に取り組み、薄切りの青果物の体積の縮みを触れずに測定する方法の開発を目指しました。

どのように測ったのか

研究チームはまず、レーザー光を対象物に当て、その映り方から形状を求める「三角測量方式」の3D計測装置を設計・製作しました。寸法が分かっている標準部品で精度を確かめたところ、平均の絶対誤差はX軸方向で0.55ミリ、Y軸方向で0.39ミリでした。高さ(Z軸)方向は0.27ミリでした。

試料にはニンジン、バナナ、リンゴの3種類を用いました。直径47ミリの円柱状にくり抜いてから、厚さ3ミリ、5ミリ、10ミリに薄切りし、50℃、60℃、70℃の温風(風速毎秒0.5メートル)で乾燥させました。

体積は、二つの情報を掛け合わせて求めます。一つは、レーザー計測で得た点の集まり(点群)から作った立体モデルをもとに算出した、薄切りの上面の表面積です。もう一つは乾燥中の厚さで、温度、乾燥時間、最初の厚さから数理モデルで予測しました。著者らは、薄切りは厚さがおおむね均一で上下の面がほぼ平行なため、この近似が成り立つとしています。一方で、大きく反ったり不均一に縮んだりした試料では誤差が出る可能性があることも述べています。

表面積の測定精度は、実際の表面積と比べて評価されました。実際の表面積は、ピクノメーター(容積を測る器具)で求めた体積を、ノギスで測った厚さで割って算出されています。

主な結果

乾燥中の厚さの予測では、人工ニューラルネットワーク(データから入力と出力の複雑な関係を学習する計算モデル)が、1次から3次までの回帰式よりも高い精度を示しました。検証用データでの相関係数は、ニンジン0.987、バナナ0.995、リンゴ0.993と報告されています。

上面の表面積の測定では、ニンジンとリンゴで相関係数0.996となり、実際の値とほぼ一致しました。バナナは0.949とやや低くなりました。著者らはその理由として、二つの可能性を挙げています。一つは、乾燥中に見られた褐色化(酵素による変色)が赤いレーザー光を吸収した可能性です。もう一つは、表面の水分や糖による光沢がレーザー光の検出を乱した可能性です。ただし、色の客観的な測定は行っていないため、これらはあくまで仮説だとしています。

最終的な体積の縮みの測定でも、3種類すべてで許容できる精度が得られたと報告されています。相関係数と誤差の指標(RMSE)は、リンゴが0.982と3.23、ニンジンが0.988と3.82、バナナが0.950と4.97でした。誤差が最も小さかったのはリンゴです。著者らは、この差には組織の性質が関係していると考察しています。リンゴは組織が均一で縮み方が対称的なのに対し、ニンジンは繊維の向きによって縮み方が異なるという見方です。

この研究が示すこと

この研究は、3Dレーザー計測と厚さの予測モデルを組み合わせることで、乾燥した薄切りの青果物の体積の縮みを、試料に触れずに許容できる精度で測定できたと報告しています。精度は食材の組織の性質に左右されるものの、縮みを非破壊で捉える手がかりになることが分かります。なお、試料が連続して流れる移動床式乾燥機でのリアルタイム監視は、著者らが今後の応用先として提案しているものです。本研究で実証された内容ではありません。

原著論文の著者・所属:Zahra Rostami Gharkhloo(Department of Mechanical Engineering of Biosystems, Faculty of Agriculture, Urmia University, Urmia, Iran)、Faroogh Sharifian(Department of Mechanical Engineering of Biosystems, Faculty of Agriculture, Urmia University, Urmia, Iran)、Kaveh Mollazade(Department of Biosystems Engineering, Faculty of Agriculture, University of Kurdistan, Sanandaj, Iran)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Zahra Rostami Gharkhloo, Faroogh Sharifian, Kaveh Mollazade. Non-contact volumetric shrinkage measurement of horticultural products during thin-layer drying using 3D laser imaging and mathematical modeling. Scientific Reports 2026-09-30. DOI: 10.1038/s41598-026-73710-5. 原著ライセンス:CC BY.