スナック菓子やインスタント食品、清涼飲料水などに代表される「超加工食品(UPF)」については、これまでも心血管疾患(CVD)や高血圧のリスクとの関連を報告する研究が数多く発表されてきました。しかし、そうした研究の多くは、超加工食品の分類方法や統計解析の手法がまちまちで、その結果の信頼性については十分に検証されてこなかったといいます。今回紹介する研究は、超加工食品と心血管疾患・高血圧の関連を扱った既存研究そのものを対象に、その「方法論的な厳密さ」を批判的に評価するという、一風変わったアプローチをとった系統的レビューです。
研究でわかったこと
研究チームは主要なデータベースを系統的に検索し、超加工食品と心血管疾患・高血圧の関連を調べた研究を収集しました。そのうえで、食事の評価方法、超加工食品の分類基準(NOVA分類)の使い方、共変量(結果に影響しうる他の要因)の選び方、交絡因子の調整方法、統計モデルの立て方、そして効果の推定値について、詳細にデータを抽出しています。さらに、収集した効果推定値をランダム効果モデルによるメタ解析で統合し、結果のばらつき(異質性)の要因についてもメタ回帰分析や感度分析で検討しました。
対象となった46件の適格研究を見ると、超加工食品をどう分類するか(NOVA分類の適用方法)に大きなばらつきがあったことが確認されました。また、交絡因子を選ぶ際に「有向非巡回グラフ(DAG)」という手法を用いていた研究はわずか2件にとどまり、42件は調整が不十分なモデルを使用し、38件は結果に影響を与える経路の一部(媒介変数)まで誤って調整してしまう「過剰調整」に陥っていたと報告されています。
こうした方法論上の課題を踏まえたうえで、それでも統合解析では、超加工食品の摂取量が多いグループは少ないグループに比べて、心血管疾患のリスクが9%、高血圧のリスクが16%高いという関連が示されました。特に冠動脈疾患や脳血管疾患については、より強い関連がみられたとされています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この論文自体は、個々の研究対象者を新たに調べた研究ではなく、既存の研究群の「作られ方」を検証したレビュー論文です。著者らは、超加工食品の摂取量が多いことと心血管疾患・高血圧リスクの上昇との関連は一貫して見られるとしつつも、分類基準の不統一や交絡因子調整の不備といった方法論的な限界が、観察された関連を弱めている可能性があると指摘しています。つまり、実際の関連はここで示された数値よりも強い可能性がある、という留保がついている点は押さえておきたいところです。著者らは、超加工食品の分類方法を統一し、因果関係を意識した解析の枠組みを取り入れることが、超加工食品摂取と心血管代謝の健康との関係をより正確に明らかにするために重要だと結論づけています。
まとめ
今回のレビューは、超加工食品と心血管疾患・高血圧の関連そのものを新たに証明したものではなく、これまでの研究がどれだけ厳密な方法で行われてきたかを検証したものです。方法論上の課題が指摘される一方で、統合解析では関連の存在自体は示唆されています。今後、分類基準や解析手法が統一された研究が積み重なることで、より確かな理解につながっていくことが期待されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:超加工食品と心血管疾患・高血圧に関する研究の方法論的厳密性を批判的に評価する系統的レビュー(フィグシェア・2026年08月)