著者の所属・活動拠点の国は、イギリスです。

掲載誌:CyTA - Journal of Food

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

食べ物を飲み込みにくい状態は嚥下障害と呼ばれ、食べやすさに合わせて食感を調整した食品が使われます。その食感の目安として国際的に使われている枠組みがIDDSI(国際嚥下食標準化イニシアチブ)の基準で、レベル4はなめらかなピューレ状の食品に当たります。

この研究で著者らは、増粘多糖類(ハイドロコロイド。とろみやまとまりを与える食品素材)を加えたにんじんピューレを、IDDSIレベル4の要件を満たすことを目指して開発しました。そのうえで、食感や流動の性質(レオロジー)、電子レンジで加熱した後に置いておいたときの安定性を調べました。

何を調べたか

研究チームは、以前に開発した配合「C50/2.5」を出発点として研究を進めました。比較のため、この配合と市販のにんじんピューレも評価に含めています。

まず20種類の配合を、IDDSIの簡易検査であるフォーク滴下テストとスプーン傾斜テストでふるい分けました。フォーク滴下テストはフォークの隙間から食品がどう落ちるかを見るもので、スプーン傾斜テストはスプーンを傾けたときに食品がまとまって落ち、スプーンに多く残らないかを確かめるものです。両方に合格した5種類の配合について、機器を使った測定へ進みました。

主な結果

選ばれた配合のうち、キサンタンガム2.5%とグアーガム2.0%を組み合わせた「GX」が、硬さ(2,000 N/m2)と付着性(850 J/m3)のいずれも最も低い値を示したと報告されています。付着性は、食品がどれだけくっつきやすいかを示す指標です。

加熱後の変化については、GXと市販品はいずれも、電子レンジ加熱の直後と10分後にはスプーン傾斜テストの基準を満たしていました。しかし20分以降はスプーンに残る量が増え、どちらも基準を満たさなくなりました。また、置いておく間に見かけの粘度は上がり続けたとされています。

研究が示すこと

著者らは、加熱直後にIDDSIレベル4の基準を満たしていても、その後置いておく間にその状態が保たれない場合があると述べています。そのうえで、食感を調整した食品の時間による変化をとらえるには、IDDSIの簡易検査と機器による測定を組み合わせて評価することが有用だと結論づけています。

原著論文の著者・所属:Obafemi Akinwotu(School of Agri-Food Technology and Manufacturing, University of Lincoln)、Ayten Aylin Tas(Department of Health Professions, Manchester Metropolitan University)、K. D. Anthony Taylor(School of Agri-Food Technology and Manufacturing, University of Lincoln)、Bukola Onarinde(School of Agri-Food Technology and Manufacturing, University of Lincoln)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Obafemi Akinwotu, Ayten Aylin Tas, K. D. Anthony Taylor, et al. Hydrocolloid and processing effects on the textural and rheological properties of dysphagia friendly carrot purées. CyTA - Journal of Food 2026-10-12. DOI: 10.1080/19476337.2026.2747457. 原著ライセンス:CC BY.