著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。
掲載誌:Potato Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
打撲による黒ずみを抑えられるか
ジャガイモは収穫や輸送の際に衝撃を受けると、皮の下の組織が黒ずむことがあります。これは、傷ついた細胞内で酵素がフェノール類に作用して起こる褐変で、外からは目立たなくても、皮をむくと現れる品質上の問題です。
研究チームは、この黒ずみやすさが品種によって異なるか、また、一酸化窒素(NO)と、植物ホルモンのエチレンの働きを阻害する1-メチルシクロプロペン(1-MCP)による処理で抑えられるかを調べました。
3品種の傷んだ組織を比較
対象は、クリアウォーター・ラセット、ラセット・バーバンク、ラセット・ノーコタの3品種です。研究チームは、収穫後に6か月間貯蔵したいもを使い、NOや1-MCPで処理したものと対照区について、衝撃によって生じた傷の変色を比較しました。見た目の評価に加え、測定器で組織の明るさを調べ、褐変に関わる酵素や成分も分析しました。
今回の実験で生じた傷の症状は全体として軽く、目立った変色のないものから、薄い灰色に変色したものまででした。その中で、クリアウォーター・ラセットは衝撃後の組織が最も明るく、フェノール類の総量や、アミノ酸のフェニルアラニン、チロシンの濃度が最も低いと報告されました。著者らは、これらの特徴が、この品種の褐変しにくさを示唆するとしています。
処理の効果は控えめで、品種の影響が大きい
NOと1-MCPで処理したいもでは、対照区より組織の明るさがやや高く、黒ずみの程度が小さくなりました。一方、抗酸化能、フェノール類の含有量、褐変に関わるポリフェノール酸化酵素(PPO)の活性には、対照区と比べて有意な変化は認められませんでした。見た目の改善に伴って、測定した生化学的な指標も明確に変わったわけではありません。
著者らは、今回測定した多くの指標では、収穫後の処理よりも品種の違いによる影響が大きかったと結論づけています。この研究は、実験条件下でのNOと1-MCPの追加効果は控えめだった一方、打撲後の黒ずみを抑えるうえで品種選びが重要であることを示しています。
原著論文の著者・所属:Pankaj Kumar Yadav(Kimberly Research and Extension Center, University of Idaho (U of I), 3806 N 3600 E, Kimberly, ID, 83341, USA)、Samuel Paytosh(Kimberly Research and Extension Center, University of Idaho (U of I), 3806 N 3600 E, Kimberly, ID, 83341, USA)、Jessica Smith(Kimberly Research and Extension Center, University of Idaho (U of I), 3806 N 3600 E, Kimberly, ID, 83341, USA)、Nora Olsen(Kimberly Research and Extension Center, University of Idaho (U of I), 3806 N 3600 E, Kimberly, ID, 83341, USA)、Munevver Dogramaci(Potato, Pulse and Small Grains Quality Research Unit, Edward T. Schafer Agricultural Research Center, Agricultural Research Service, United States Department of Agriculture, Fargo, ND, 58102, USA)、Gustavo Henrique de Almeida Teixeira(Kimberly Research and Extension Center, University of Idaho (U of I), 3806 N 3600 E, Kimberly, ID, 83341, USA)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Pankaj Kumar Yadav, Samuel Paytosh, Jessica Smith, et al. Genotypic Variation and the Effects of Nitric Oxide and 1-Methylcyclopropene on Mitigating Blackspot Bruise Enzymatic Browning in Potatoes. Potato Research 2026-08-28. DOI: 10.1007/s11540-026-10121-z. 原著ライセンス:CC BY.