著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。
掲載誌:Journal of Animal Science
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
飼料の配合と乳生産の関係を調べる
研究チームは、飼料に含まれる繊維の量や原料の違いが、乳用のアルパイン種ヤギの食べる量、消化、乳生産などにどう影響するかを調べました。初めて出産したヤギと、出産を複数回経験したヤギで、反応が異なるかも検討しました。
対象は授乳中の62頭です。研究チームは、穀類などの濃厚飼料と繊維源の割合や、繊維源の種類が異なる4種類の飼料を比較しました。16週間を4週間ずつに区切って経過を追い、飼料摂取量や乳量、乳成分を調べるとともに、消化率、胃内の発酵、血液成分、行動なども測定しました。
繊維の多い飼料では摂取量が少なくても、乳のエネルギー産出は維持
研究チームによると、繊維源の割合が高い2種類の飼料では、濃厚飼料の割合が高い2種類に比べ、水分を除いた飼料の摂取量が平均で1日0.455キログラム少なくなりました。一方、植物の細胞壁に由来する繊維成分の消化率は、繊維の多い飼料で高くなりました。
乳として1日に産出されたエネルギー量や、食べた飼料の乾物量当たりの乳のエネルギー産出量には、飼料間で統計的に有意な差は認められませんでした。著者らは、繊維の多い飼料は初産のヤギの摂取量や1日当たりの体重増加をやや低下させたものの、出産を複数回経験したヤギへの影響は小さく、乳のエネルギー産出を損なわなかったとまとめています。
また、1日全体で集計した行動の指標には、飼料による有意な違いは認められませんでした。ただし、乳成分などへの反応には、授乳の時期や出産経験によって異なるものもありました。
繊維だけでなく、たんぱく質の違いも含めた結果
今回の飼料は、繊維の量や原料だけでなく、実際の粗たんぱく質含有量にも違いがありました。著者らは、たんぱく質の消化や乳・血液中の尿素窒素などの変化を、繊維だけの影響とはみなせないと説明しています。繊維とたんぱく質それぞれの影響を、完全に切り分けた比較ではありません。
そのうえで研究チームは、今回用いた中程度から高品質の繊維源を含む飼料の範囲では、アルパイン種の乳用ヤギは配合の違いに適応し、乳生産の効率を維持したと結論づけています。食べる量の違いが、そのまま乳として産出するエネルギーの違いになるわけではないことを示す結果です。
原著論文の著者・所属:Wei Wang(Langston University American Institute for Goat Research, , Langston, Oklahoma,; Northwest A&F University Shaanxi Key Laboratory of Molecular Biology for Agriculture, College of Animal Science and Technology, , Yangling 712100,)、Amlan Kumar Patra(Langston University American Institute for Goat Research, , Langston, Oklahoma,)、Ryszard Puchala(Langston University American Institute for Goat Research, , Langston, Oklahoma,; Military Institute of Hygiene and Epidemiology , Kozielska 4, 01-163 Warsaw,)、Terry Allen Gipson(Langston University American Institute for Goat Research, , Langston, Oklahoma,)、Arthur Louis Goetsch(Langston University American Institute for Goat Research, , Langston, Oklahoma,)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Wei Wang, Amlan Kumar Patra, Ryszard Puchala, et al. Effects of level and type of fiber sources on feed intake, milk production and composition, nutrient utilization, ruminal fermentation, blood constituents, and eating behavior in Alpine goats. Journal of Animal Science 2026-10-27. DOI: 10.1093/jas/skag344. 原著ライセンス:CC BY.