著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Molecules

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

精製すると成分や働きはどう変わるか

研究チームは、タンポポの根に含まれる多糖類について、精製によって成分や構造、試験管内での働きがどう変わるかを調べました。多糖類は、糖が多数つながった物質です。今回の研究では、抗酸化作用に加え、糖質の消化に関わる酵素の働きを抑える作用を比較しました。

著者らは、酵素による処理とマイクロ波照射を組み合わせて、根から粗抽出物「mDRP」を得ました。さらに、樹脂やセルロースを使って成分を分け、精製画分「mDRP-1」を取り出しました。精製後は総糖含有率が75.71%から85.35%に上がり、タンパク質含有率は低下しました。また、分子の大きさの分布がそろい、構成する糖の割合にも違いが見られました。

精製前の試料で強かった抗酸化作用と酵素阻害

抗酸化試験では、粗抽出物の方が精製画分よりも、フリーラジカルを除去する働きが強かったと報告されています。これは、反応性の高い物質を試験液の中でどれだけ除去できるかを調べた結果です。

糖質の分解に関わるα-グルコシダーゼとα-アミラーゼに対しても、粗抽出物の方が強い阻害作用を示しました。α-グルコシダーゼでは、試料濃度2.0 mg/mLでの阻害率が粗抽出物で80.52%、精製画分で55.28%でした。α-アミラーゼでは、1.0 mg/mLでそれぞれ76.41%、24.76%でした。ただし、両試料とも、比較に用いた糖尿病治療薬アカルボースより阻害作用は弱い結果でした。

純度の高さと作用の強さは一致しなかった

今回の比較では、糖の純度を高めても、測定した作用が強くなるわけではありませんでした。著者らは、分子の大きさや糖の組成、構造の違いに加え、粗抽出物に含まれる複数成分の相互作用が関係している可能性を示しています。ただし、作用の違いを生む詳しい仕組みは未解明です。

これらは細胞を使わない試験で得られた結果であり、人が摂取したときの血糖低下や健康効果を示すものではありません。研究は、タンポポの根の多糖類を評価する際、精製度だけでなく、含まれる成分の組み合わせにも目を向ける意味を示しています。

原著論文の著者・所属:Jingwen Zhang(College of Food and Bioengineering, Qiqihar University, Qiqihar 161006, China)、Fujuan Zhang(Department of Biochemical Engineering, Chaoyang Normal University, Chaoyang 122000, China)、Yuxuan Liu(College of Food and Bioengineering, Qiqihar University, Qiqihar 161006, China)、Cuntang Wang(College of Food and Bioengineering, Qiqihar University, Qiqihar 161006, China)、Guojun Du(College of Food and Bioengineering, Qiqihar University, Qiqihar 161006, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jingwen Zhang, Fujuan Zhang, Yuxuan Liu, et al. Comparative Structural Characterisation and In Vitro Bioactivities of Crude and Purified Polysaccharides from Dandelion (Taraxacum officinale) Root Using Microwave-Assisted Enzymatic Extraction. Molecules 2026-08-25. DOI: 10.3390/molecules31172966. 原著ライセンス:CC BY.