著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。

掲載誌:Journal of Nutrition Education and Behavior

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

家で料理をすることは、食事の質を高める方法としてよく勧められます。しかし、住まいや家計、食料の確保といった生活の基盤に困難を抱えている人にとって、料理をすることや、料理が食事の質に結びつくことは、同じように成り立つのでしょうか。

研究チームは、生活に必要な支えが十分に得られていない状態を「満たされない社会的ニーズ」として扱い、二つの問いを立てました。一つ目は、満たされない社会的ニーズが料理の頻度と関連しているかどうかです。二つ目は、料理の頻度と、本人が評価した食事の質との関係が、満たされない社会的ニーズによって変わるかどうかです。後者のように、ある要因によって二つの事柄の関係の強さや形が変わることを、研究では「調整(モデレーション)」と呼びます。

調べた方法

著者らは、2024年にオンラインで集めたアンケートのデータを使い、米国に住む成人1,570人を分析しました。ある一時点のデータを分析する横断研究のため、示されるのは要因どうしの関連であり、どちらが原因かを直接示すものではありません。

満たされない社会的ニーズとして、住まいが不安定なこと、十分な食料を確保できない状態(食料不安)など、6種類を取り上げました。料理の頻度と各ニーズとの関連は、順序のある回答を扱う統計手法(順序ロジスティック回帰)で調べました。さらに、各ニーズが料理の頻度と食事の質の関係を変えるかどうかを、二つの要因の組み合わせの影響を見る「交互作用」の分析で確かめました。

主な結果

抄録によると、満たされない社会的ニーズを5つ以上抱える人は、ニーズが一つもない人に比べ、「週1回より多く料理する」と答える見込みが低いと報告されました。他の要因を考慮して調整したオッズ比は0.45(95%信頼区間0.28〜0.72)で、著者らはこれを「55%低い」と表現しています。

また著者らは、取り上げた社会的ニーズのうち、食料不安を除くすべてが料理の頻度の低さと関連していたと結論づけています。食料不安と料理の頻度との関係が具体的にどうだったのかは、抄録には書かれていません。

交互作用の分析では、請求書の支払いが難しいこと、電気・ガス・水道などの供給停止を予告されたこと、住まいが不安定なこと、食料不安を経験していることの四つが、料理の頻度と自己評価による食事の質との関係を調整していたと報告されています。抄録には、その関係がどのような方向に変わったかの詳しい記述はありません。

研究が示すこと

この研究は、料理をすることと食事の質との結びつきが、誰にとっても同じではない可能性を示しています。食料不安以外の満たされない社会的ニーズは料理の頻度の低さと関連しており、食料不安を含む四つのニーズは、料理の頻度と食事の質の関係を調整していたと報告されています。

著者らは、食事の質を高める方法として料理を勧める取り組みを計画する際には、人々が抱える満たされない社会的ニーズを考慮する必要があると述べています。

原著論文の著者・所属:Danielle J. Gartner(Department of Social, Behavioral, and Population Sciences, Celia Scott Weatherhead School of Public Health & Tropical Medicine, Tulane University, New Orleans, LA.. Electronic address: [email protected])、Chelsea R. Singleton(Department of Social, Behavioral, and Population Sciences, Celia Scott Weatherhead School of Public Health & Tropical Medicine, Tulane University, New Orleans, LA)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Danielle J. Gartner, Chelsea R. Singleton. Unmet Social Needs Moderate the Relationship Between Cooking Frequency and Self-Rated Diet Quality. Journal of Nutrition Education and Behavior 2026-09-01. DOI: 10.1016/j.jneb.2026.09.005. 原著ライセンス:CC BY.