著者の所属・活動拠点の国は、ノルウェーです。
掲載誌:Scandinavian Journal of Educational Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ノルウェーでは、幼稚園の内容や役割について国が「全国枠組み計画」と呼ばれる指針を定めており、そこでは食事の時間にも一定の期待が寄せられています。研究チームは、幼稚園で働く職員が昼食の時間をこの国の期待に照らしてどのように受け止めているのかを明らかにすることを目的としました。
ここで紹介する内容は、論文の抄録に記載された研究目的・方法・結果にもとづいています。
何を調べたか
著者らは、幼稚園職員を対象としたアンケート調査のデータを用いました。2,190人の回答者から得られた選択式の回答を数量的に分析するとともに、回答者が自由に記述した回答の内容も質的に分析しています。数字による全体像と、職員自身の言葉による具体的な声の両面から、昼食の時間に対する考えを探った研究です。
主な結果
論文によると、食事の時間を、健康的な食生活を促し、学びの機会とし、子ども同士や大人との社会的な関わりを育む場として位置づけることに、職員の間で幅広い支持がみられました。食事には教育的な可能性があるという考え方を、多くの職員が肯定していたことになります。
一方で、その可能性を日々の実践の中で実現するうえでの障壁も、多くの職員が挙げていました。具体的には、人手の不足、時間の制約、調理技術の不足、設備の不十分さなどです。
また、調理担当の職員を雇用している幼稚園は少なく、食事の準備の責任が保育・教育を担う職員にかかっていることも報告されています。こうした職員は、調理などに関連する訓練を受けていないことが多かったとされます。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行によって食事時間の進め方が変わり、食事の社会的・教育的な側面に影響が及んだことも示されました。
この研究が示すこと
著者らは、食と食事の時間を教育として実践に組み込むための、より明確な手引きが必要だと述べています。あわせて、国の政策目標を達成するためには、職員の力量を高めることと、人員や設備などの体制面での支えを強めることが求められると結論づけています。食事の時間に大きな意義を見いだしながらも、それを支える条件が現場に十分そろっていない――そうした指針と現実のずれを、職員自身の視点から浮かび上がらせた研究といえます。
原著論文の著者・所属:Hege Wergedahl(Western Norway University of Applied Sciences)、Eli Kristin Aadland(Western Norway University of Applied Sciences)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hege Wergedahl, Eli Kristin Aadland. Bringing policy to the table: kindergarten staff perspectives on food and meals. Scandinavian Journal of Educational Research 2026-09-06. DOI: 10.1080/00313831.2026.2727855. 原著ライセンス:CC BY.