著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。
掲載誌:Journal of Food Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
豚肉には、色が淡く、柔らかく、肉汁が出やすい「PSE肉」と呼ばれるものがあります。これに対して、赤みを帯びたピンク色で締まりがあり、肉汁が出にくい肉は「RFN肉」と呼ばれます。PSE肉には、加工品の原料として使う際の技術的な制約があるとされています。
研究チームは、強い超音波を当てる処理が、品質区分の異なる豚ロース肉から作った加工品の性質にどのような影響を与えるかを調べました。対象としたのは、豚ロース肉を成形し直し、塩漬けして加熱した製品(再成形塩漬加熱製品)です。
何を調べたか
著者らは、RFNとPSEの2種類の品質区分の豚ロース肉から製品を作りました。その際、周波数20キロヘルツ、強さ1平方センチメートルあたり192ワットまたは301ワットの高強度超音波を、最長15分間当てる処理を行いました。
そのうえで、水分量、pH、加熱や再加熱で失われる重量の割合、食感(硬さ、まとまりやすさ、弾力、付着性、噛みごたえ)、製品に残った亜硝酸塩の量、色、脂質の酸化の程度を調べました。
主な結果
製品の特性を最も大きく左右していたのは、原料肉の品質区分でした。RFN肉で作った製品は、PSE肉の製品より水分量が多く(76.08%対75.37%)、pHが高く(6.30対6.12)、加熱による損失(4.34%対6.28%)と再加熱による損失(4.74%対6.23%)がいずれも少なくなっていました。
PSE肉の製品は、調べた食感の項目がすべて低い値を示し、残存亜硝酸塩も少なくなっていました(1キログラムあたり26.72ミリグラム対52.26ミリグラム)。色はRFN肉の製品より明るく、色合いはより黄みを帯びたピンク寄りでした。
脂質の酸化については、超音波処理の条件や肉の品質区分による差は認められませんでした。超音波を当てた時間が影響したのは食感だけで、10分間の処理では、超音波の強さにかかわらず硬さと噛みごたえの値が低くなりました。
この研究が示すこと
著者らは、再成形した加熱豚ロース製品の品質は、超音波処理よりも主に原料肉の品質によって左右されていたとまとめています。評価した条件のもとでは、超音波処理が製品の機能性に与える影響は限られており、PSE肉を使うことによる技術的な制約を補うには不十分だったとしています。そのうえで、品質区分に基づいて原料の豚肉を選ぶことのほうが製品の品質向上には有効であり、原料の品質分類の仕組みを取り入れることが、品質の安定や製造・使用時の損失の低減に役立ちうると述べています。
原著論文の著者・所属:Amanda Camilo Graciano(Department of Food Science, School of Agricultural Sciences of Lavras Federal University of Lavras (UFLA) Lavras Minas Gerais Brazil)、Miriam de Andrade Pereira(Department of Food Science, School of Agricultural Sciences of Lavras Federal University of Lavras (UFLA) Lavras Minas Gerais Brazil)、Larissa Marçal dos Santos(Department of Food Science, School of Agricultural Sciences of Lavras Federal University of Lavras (UFLA) Lavras Minas Gerais Brazil)、Marielle Maria de Oliveira Paula(Department of Food Science, School of Agricultural Sciences of Lavras Federal University of Lavras (UFLA) Lavras Minas Gerais Brazil)、Douglas Roberto Guimarães Silva(President Tancredo de Almeida Neves University Center (UNIPTAN) São João Del Rei Minas Gerais Brazil)、Alcinéia de Lemos Souza Ramos(Department of Food Science, School of Agricultural Sciences of Lavras Federal University of Lavras (UFLA) Lavras Minas Gerais Brazil)、Eduardo Mendes Ramos(Department of Food Science, School of Agricultural Sciences of Lavras Federal University of Lavras (UFLA) Lavras Minas Gerais Brazil)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Amanda Camilo Graciano, Miriam de Andrade Pereira, Larissa Marçal dos Santos, et al. Effects of Ultrasound Treatments on the Technological Characteristics of Restructured Cured Cooked Products Elaborated With Pale, Soft and Exudative Pork Loins. Journal of Food Science 2026-10-01. DOI: 10.1111/1750-3841.71581. 原著ライセンス:CC BY.