日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。

掲載誌:Plant Production Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

中国地方のダイズ栽培では、種まきの時期に土が水を含みすぎることや、台風で株が倒れる「倒伏」などの環境ストレスが、生産量を抑える要因になってきました。こうした条件のもとでも生産性を高めるため、新しい品種の開発が進められています。

「そらたかく」は、日本とアメリカの品種をもとに最近開発されたダイズ品種で、西日本の南西部で高い収量が期待されています。研究チームは、中国地方で標準的な時期に種をまいた場合と、遅くまいた場合の両方で「そらたかく」の収量を評価しました。あわせて、その収量に関わる草姿などの形態的特徴や栽培上の特性を明らかにすることを目指しました。

どのように調べたか

研究チームは「そらたかく」を、比較対象となる既存の主要品種と並べて栽培しました。標準的な時期の種まきでは「サチユタカA1号」と、遅い時期の種まきでは「フクユタカ」と比べています。さらに、畑に植える株の密度を変えた条件でも、それぞれの品種の成績を評価しました。

主な結果

6月下旬に種をまいた条件では、「そらたかく」は標準的な密度でも高い密度でも、「サチユタカA1号」より高い収量を示し、植物体がつくる乾物の量(水分を除いた重さで表した生育量)も多くなりました。豆100粒あたりの重さは「そらたかく」のほうが軽かったにもかかわらず、収量は上回っていました。著者らは、この収量の優位性が、1株あたりの節の数やさやの数が多いことと関連していたと報告しています。

7月下旬に種をまいた条件では、「そらたかく」の収量は植える密度にかかわらず「フクユタカ」と同程度でした。

倒れやすさについては、株の傾きの角度で評価したところ、「そらたかく」は「サチユタカA1号」と同程度で、「フクユタカ」より小さい結果でした。「そらたかく」は成熟する時期が「フクユタカ」に近く、主茎も長い品種ですが、主要品種と比べて倒れにくかったと報告されています。

研究が示すこと

研究チームは、「そらたかく」が主要品種より多くの乾物を生産し、倒伏にも強い性質をもっていたと考察しています。そして、この二つの特性が組み合わさったことが、高い収量につながったと示唆しています。倒伏などの環境ストレスが課題となる中国地方で、新しい品種がどのような特性によって収量を確保しているのかを示した報告といえます。

原著論文の著者・所属:Hiroyuki Kato(National Agriculture and Food Research Organization)、Masayasu Saruta(National Agriculture and Food Research Organization)、Yoshitake Takada(National Agriculture and Food Research Organization)、Yohei Kawasaki(National Agriculture and Food Research Organization)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hiroyuki Kato, Masayasu Saruta, Yoshitake Takada, et al. Yield and yield components of a new soybean cultivar, ‘Soratakaku’, in the Chugoku region of Japan. Plant Production Science 2026-10-14. DOI: 10.1080/1343943x.2026.2744863. 原著ライセンス:CC BY.