近年、乳製品を使わない「ヴィーガンアイスクリーム」を店頭やレシピサイトで見かける機会が増えています。牛乳の代わりに植物性のミルクを使うことで、動物性食品を控えたい人でもアイスクリームを楽しめるという発想ですが、実際のところ、味や食感、見た目は従来の牛乳アイスとどれくらい似ているのでしょうか。今回紹介する研究は、豆乳とココナッツミルクを使ってヴィーガンアイスクリームを作り、そのpH(酸性・アルカリ性の度合い)、色、そして食べたときの官能評価(味や食感などの人による評価)を、牛乳を使った通常のアイスクリームと比較したものです。
研究でわかったこと
この研究では、牛乳と乳製品のみで作ったアイスクリームを対照群(C)とし、豆乳とココナッツミルクの配合割合を変えた5つの実験群を用意しました。具体的には、豆乳100%(S1)、豆乳75%+ココナッツミルク25%(S2)、豆乳50%+ココナッツミルク50%(S3)、豆乳25%+ココナッツミルク75%(S4)、ココナッツミルク100%(S5)という組み合わせです。
pHを測定したところ、S1群とS2群(豆乳の比率が高いグループ)は、他のグループよりも有意に高い値を示したと報告されています。色に関する分析では、明るさを示すL値についてS5群(ココナッツミルク100%)が、S1〜S4群よりも有意に高い値を示しました。一方、赤み・黄みに関わるa値・b値については、S1群(豆乳100%)が他のすべてのグループよりも有意に高い値を示したとされています。
味や質感などを人が評価する官能評価では、対照群(牛乳を使った通常のアイスクリーム)が、他のグループと比べて味の評価スコアが有意に高かったと報告されています。こうした結果を踏まえ、著者らは「豆乳とココナッツミルクを使ったヴィーガンアイスクリームは、物理的・化学的・官能的な特性の面で、従来の一般的なアイスクリームと類似した性質を持つ」と結論づけています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、豆乳とココナッツミルクの配合比率を変えたアイスクリームについて、pH・色・官能評価という限られた指標を比較したものです。味の評価については対照群(牛乳使用)が有意に高かった点も報告されており、植物性ミルクを使ったアイスクリームがあらゆる面で牛乳アイスと同等というわけではない点には留意が必要です。また、これは一つの研究であり、結論が確定したわけではありません。今後さらに研究が積み重ねられることで、より詳しい特徴や改善点が明らかになっていくと考えられます。
まとめ
今回紹介した研究では、豆乳とココナッツミルクの配合比率を変えて作ったヴィーガンアイスクリームについて、pH・色・官能評価の観点から従来の牛乳アイスクリームと比較が行われました。味の評価では牛乳を使った対照群が高い評価を得た一方、豆乳やココナッツミルクを使ったアイスクリームも物理的・化学的・官能的特性において類似した性質を示したことが報告されています。植物性ミルクを使ったアイスクリームづくりの一つの検討材料として、興味深い知見と言えそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ヴィーガンアイスクリーム製造におけるココナッツミルクと豆乳使用の効果(コージェント・フード・アンド・アグリカルチャー・2026年07月)