変形性関節症や関節リウマチ、痛風といった関節の病気は、多くの人にとって身近な悩みのひとつです。こうした病気の発症には、加齢や体質だけでなく、日々の食生活も関わっているのではないかと考えられてきました。中でも「タンパク質」は筋肉や骨の材料になる栄養素として注目されていますが、その摂取量や由来(肉なのか、豆や穀物なのか)が関節の病気のリスクとどう関係するのかについては、これまで十分にわかっていませんでした。今回紹介する研究は、この点を大規模な追跡調査データを使って調べたものです。
研究でわかったこと
この研究では、参加者の食事内容を24時間思い出し法という方法で調べ、その後の変形性関節症(OA)、関節リウマチ(RA)、痛風、脊椎関節炎(SpA)の発症を、英国の入院記録をもとに平均12〜13年にわたって追跡しました。追跡期間中には、OAが23,298例、RAが2,070例、痛風が2,934例、脊椎関節炎が728例確認されたと報告されています。
解析の結果、タンパク質の摂取量が多いグループほど痛風の発症リスクが低い傾向が見られました(摂取量が最も多いグループは最も少ないグループに比べてリスクが0.87倍)。また、植物性タンパク質の摂取が多いほど、変形性関節症(0.89倍)や関節リウマチ(0.76倍)のリスクが低い傾向と関連していた一方で、動物性タンパク質の摂取が多いほど変形性関節症のリスクが高い傾向(1.07倍)と関連していたことが示されています。
さらに、具体的な食品ごとの検討も行われており、全粒穀物・豆類・チーズの摂取は変形性関節症リスクの低さと、全粒穀物・魚介類・チーズ・ヨーグルトの摂取は関節リウマチリスクの低さと関連していた一方、赤身肉の摂取は関節リウマチリスクの高さと関連していたと報告されています。加えて、体内の炎症の指標であるCRP(C反応性タンパク)が、植物性・動物性タンパク質と変形性関節症リスクとの関連、および植物性タンパク質と関節リウマチリスクとの関連の一部を媒介している可能性も示唆されました。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、あくまで食事内容と病気の発症記録を統計的に関連づけた観察研究であり、タンパク質の摂取が関節の病気を直接引き起こす、あるいは予防するということを証明したものではありません。示されたのは「関連」であって「因果関係」ではない点に注意が必要です。また、これは一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではなく、今後さらなる研究による検証が期待される段階だといえます。
まとめ
今回紹介した研究では、総タンパク質摂取量が多いことが痛風リスクの低さと関連し、植物性タンパク質の摂取は変形性関節症・関節リウマチのリスクの低さと、動物性タンパク質の摂取は変形性関節症リスクの高さと関連していたことが報告されました。タンパク質の「量」だけでなく「由来」にも目を向けることが、関節の健康を考えるうえで一つの視点になりうることを示唆する結果といえそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:食事性タンパク質、主要なタンパク質摂取源、および慢性関節疾患リスク(ニュートリション・アンド・メタボリズム・2026年06月)