著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Nutrition Bulletin

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

激しい筋力トレーニングの後には、筋肉に細かな損傷が生じ、数日にわたって筋肉痛や力の出しにくさが続くことがあります。この研究チームは、日常的に運動している人を対象に、たんぱく質の摂取量が少ないビーガン食(肉・魚・卵・乳製品など動物性食品をとらない食事)が、こうした運動による筋損傷からの回復の違いと関連しているかを調べました。

論文の抄録によると、比較の相手は、たんぱく質を多くとっている雑食の人たちです。

何をどのように調べたか

参加したのは、日頃から運動しているビーガン7人と雑食の人7人です。参加者は、スミスマシン(バーの軌道が固定された器具)を使ったスクワットとレッグプレスを、1回だけ持ち上げられる最大重量の85%の負荷で、限界まで繰り返す運動を5セット行い、下半身の筋肉に意図的に損傷を起こしました。

筋損傷と回復の様子は、運動前、運動直後、運動から24時間後、48時間後、72時間後に調べられました。測定項目は、筋肉が傷つくと血液中に増えるクレアチンキナーゼ(CK)と乳酸脱水素酵素(LDH)という酵素の濃度、遅れて現れる筋肉痛の強さ、一度しゃがみ込む反動を使った垂直跳びの能力、関節の動く範囲です。筋肉痛の強さは、線の上に痛みの程度を示す尺度(VAS)で評価されました。

ふだんの食事内容は、前日に食べたものを聞き取る調査を4回行い、専用のソフトウェアで分析しています。

主な結果

両グループのトレーニング量や体内の水分状態は同程度でした。一方、体重1キログラムあたりのたんぱく質摂取量は、ビーガンが0.98グラム、雑食の人が2.14グラムで、ビーガンの方が有意に少なく、体内で作れないため食事からとる必要がある必須アミノ酸や、その一部である分岐鎖アミノ酸(BCAA)の摂取量も少ないと報告されています。

血液中のCKは、両グループとも運動直後に上がり、24時間後に最も高くなって、その後も運動前より高い状態が続きました。LDHも両グループで運動直後に上がり、24時間後も高いままでした。

違いが見られたのは筋肉痛です。ビーガンの筋肉痛は、運動から24時間後と72時間後に、雑食の人より明らかに強く、尺度上の差は24時間後で2.7、72時間後で2.6でした。著者らは、この差を臨床的に意味のある大きさだとしています。なお、垂直跳びの能力や関節の動く範囲について、時点ごとの詳しい結果は抄録には示されていません。

この研究が示すこと

著者らは、日常的に運動しているビーガンと雑食の人では、激しい筋力トレーニング後の筋損傷や回復の反応は全体として似ていた一方、ビーガンでは筋肉痛が強かったとまとめています。そのうえで、たんぱく質の少ないビーガン食は、運動後数日間という短期的な体の機能の回復を妨げることなく、本人が感じる筋肉の痛みの増大と関連している可能性があると述べています。

これは食事と筋肉痛の関連を示した結果であり、食事が原因だと確かめたものではありません。また、各グループ7人という少人数での比較です。著者らは、ビーガン食の人にとって、必須アミノ酸や分岐鎖アミノ酸を含め、たんぱく質の量と質を十分に確保することが、運動後の筋肉痛をやわらげ、回復時の快適さを高めるうえで大切になりうると指摘しています。

原著論文の著者・所属:Raquel Simões Mendes‐Netto(Nutrition Department Federal University of Sergipe São Cristóvão Sergipe Brazil; Postgraduate Program in Nutrition Sciences Federal University of Sergipe São Cristóvão Sergipe Brazil; Postgraduate Program in Physical Education Federal University of Sergipe São Cristóvão Sergipe Brazil)、Felipe Garcez de Carvalho(Postgraduate Program in Nutrition Sciences Federal University of Sergipe São Cristóvão Sergipe Brazil)、Alice Conrado de Souza(Postgraduate Program in Physical Education Federal University of Sergipe São Cristóvão Sergipe Brazil)、Marcos da Silva Brandão(Postgraduate Program in Nutrition Sciences Federal University of Sergipe São Cristóvão Sergipe Brazil)、David Lima Oliveira(Nutrition Department Federal University of Sergipe São Cristóvão Sergipe Brazil)、Marcela Larissa Costa(Postgraduate Program in Nutrition Sciences Federal University of Sergipe São Cristóvão Sergipe Brazil)、Marcus Vinicius Santos do Nascimento(Department of Nutrition Tiradentes University Aracaju Sergipe Brazil)、Marzo Edir da Silva Grigoletto(Postgraduate Program in Physical Education Federal University of Sergipe São Cristóvão Sergipe Brazil)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Raquel Simões Mendes‐Netto, Felipe Garcez de Carvalho, Alice Conrado de Souza, et al. Similar Muscle Recovery but Greater Soreness in Active Vegans on Low‐Protein Diets Compared to High‐Protein Omnivores Following Exercise‐Induced Damage. Nutrition Bulletin 2026-08-12. DOI: 10.1111/nbu.70064. 原著ライセンス:CC BY.