地中海食は世界的に健康的な食事パターンの一つとして知られていますが、皮肉なことに、その発祥地とされる地中海沿岸の国々でも、この食事パターンを実践する人が減ってきていると言われています。今回、キプロスの研究チームが、成人を対象に地中海食への順守度と、伝統的な乳製品やオリーブ関連食品への好みとの関連を調べた研究を発表しました。
研究チームはキプロス・ニコシア大学の研究者らで構成されています。
どのように調べたのか
この研究は、273名の成人を対象に実施されたオンラインでの横断調査です。参加者には、社会人口統計学的特性や生活習慣に関する質問に加え、地中海食への順守度を測る14項目の質問票『MEDAS(Mediterranean Diet Adherence Screener)』、さらに乳製品、オリーブオイル、オリーブ由来食品、オリーブオイルを使った料理への好みや摂取頻度を尋ねる質問への回答が求められました。得られたデータは、記述統計、主成分分析、重回帰分析という手法で解析されています。
わかったこと
参加者のMEDASスコアの平均は8.1±2.6点で、この研究で独自に設定した分類基準によると、参加者の40.0%が『良好〜優秀』な順守度に分類されました。オリーブ関連食品の中で最も好まれ、最も頻繁に摂取されていたのはオリーブオイルで、75.1%の参加者が『とても好き』と回答し、49.8%が毎日摂取していると答えています。
主要な多変量解析では、年齢が高いこと、伝統的な乳製品への好みが強いこと、オリーブ関連食品への好みが強いこと、オリーブ関連食品の摂取頻度が高いことが、MEDASスコアの高さと関連していると報告されました。一方で、性別、体格指数(BMI)、喫煙状況、身体活動量については、統計的に有意な関連は見られなかったとされています。
ただし、著者らは重要な注意点を付け加えています。MEDASの質問項目のうちオリーブオイルに関する2項目を除いて感度分析を行ったところ、オリーブ関連食品への好みや摂取頻度とMEDASスコアとの関連は、統計的に有意ではなくなったということです。これは、質問票の測定項目自体にオリーブオイルに関する内容が含まれているため、両者の関連が見かけ上強く出ている可能性を示唆するものだと考えられます。
この研究を読むうえでの注意点
著者らは、この研究が横断的な調査デザインであるため、時間的な前後関係や因果関係を証明するものではないと述べています。また、対象者の人口統計学的特性から、この結果がキプロスの一般成人集団を代表するものとみなすべきではないとも明記されています。オリーブ関連食品についての結果は、質問項目間の概念的・測定上の重なりがある可能性があるため、慎重に解釈する必要があるとされています。
まとめ
今回の調査では、キプロスの成人を対象とした便宜的なサンプルにおいて、伝統的な食品への好みが地中海食への順守度と関連していることが示されました。特にオリーブオイルは参加者の多くに好まれ、日常的に摂取されている食品であることがうかがえます。一方で、オリーブ関連の好みと順守度との関連については、測定方法上の重なりの可能性から解釈に注意が必要であり、この一つの研究だけで結論が確定したわけではない点に留意が必要です。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:キプロスにおける伝統的乳製品・オリーブ食品の嗜好と地中海食順守の関連(フーズ・2026年08月)