食事をとった直後の体の中では、実は一時的に酸化ストレスが高まりやすい状態になっています。これは「食後」というありふれた時間帯に起きている変化で、動脈硬化の初期プロセスに関わる可能性があると考えられています。

血液中には、システインとグルタチオンという2つの物質が関わる「酸化還元システム」があります。このバランスは加齢や加齢に伴う病気と関連することが分かっています。システイン/シスチン(CySS)というペアは体全体の酸化負荷を示す指標とされ、グルタチオン(GSH)は細胞内の還元力を反映すると考えられています。

研究でわかったこと

今回の研究では、心代謝リスクを1つ以上持つ、それ以外は健康な成人90人が対象になりました。全員が地中海食を続けながら、一部の人には発酵パパイヤ調製物(FPP)というサプリメントが追加されました。

食後の状態を、開始時点と3か月後の2回にわたって調べています。炎症に関わる指標や、細胞の接着に関わる分子、免疫細胞のアポトーシス(細胞死)、そしてp53という遺伝子の発現などが評価されました。

その結果、地中海食のみの場合と比べて、FPPを3か月追加したグループでは変化が見られました。血管の細胞接着に関わる分子(VCAM-1とICAM-1)の血中濃度が有意に低下したという結果でした。

また、食後に増える傾向のあるアポトーシス細胞(Annexin V陽性/DAPI陽性細胞)の増加が抑えられていました。p53遺伝子の発現、特に細胞質内での発現も低下する方向に働いたことが示されています。

酸化還元のバランスに関しても違いが見られました。CySSの濃度と、CySSとGSHの比率が有意に減少したとされています。一方でGSHの低下は緩やかに抑えられていたということです。

この研究の位置づけと読むうえでの注意

この研究は、地中海食にFPPというサプリメントを組み合わせた場合の食後の変化を調べたものです。地中海食単独との比較であり、FPPを使わない一般的な食事との比較ではない点に注意が必要です。

対象は心代謝リスクを持つ成人90人という一つの集団です。この結果だけで、誰にでも同じ変化が起きると結論づけることはできません。一つの研究であり、結論が確定したわけではない段階の知見といえます。

まとめ

食後の一時的な酸化ストレスというテーマに対し、地中海食とレドックス調節に着目したサプリメントの組み合わせを検証したのがこの研究です。接着分子や細胞死、p53発現、そして酸化還元バランスの各指標において、地中海食単独とは異なる変化がみられたことが、この研究から確認された内容です。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:心代謝リスクを有する過体重成人における地中海食後の食後酸化ストレス・炎症性トランスクリプトーム応答に対するレドックス調節の効果(ユーラシアン・ジャーナル・オブ・メディシン・アンド・オンコロジー・2026年08月)