インド北東部ナガランド州のコヒマで毎年開催される「ホーンビル祭」は、州内の複数の民族が集まり、伝統文化を披露する大規模な祭典として知られています。こうした祭りの屋台や市場では、地域に伝わる動物由来の食品が数多く販売されていますが、その実態が体系的に記録されることはこれまで多くありませんでした。今回紹介する研究では、この祭りで売られている伝統的な動物由来食品について、3年間にわたり現地調査を行い、その種類や販売のされ方、価格帯などをまとめています。

どのように調べたのか

研究チームは、2023年から2025年までの3回のホーンビル祭において、対面での構造化調査を実施しました。伝統的な食品の種類に加え、販売方法、包装材料、消費者の好み、価格についても記録しています。調査対象となった店舗は各年100店舗で、そこで扱われている動物由来食品の内容が集計されました。また、ナガの伝統的な小屋である「モルン」においては、16種類の伝統的な肉料理が確認されたほか、一般的ではない動物由来食品もいくつか記録されています。

研究でわかったこと

販売されている肉のほとんどは、熱燻製、乾燥、発酵といった伝統的な加工方法で調理されていることが確認されました。調査した店舗のうち、豚肉を扱っていた店舗は95.4%と最も多く、次いで牛肉(46.0%)、鶏肉(44.82%)、カタツムリ(43.67%)、幼虫類(28.73%)が続き、そのほかの一般的ではない動物由来食品を扱う店舗もありました。

販売されている動物由来食品全体に占める割合で見ると、豚肉が36.49%と最も高く、次いで鶏肉(17.77%)、牛肉(16.82%)の順でした。一方、アヒルは0.47%、リスは0.23%と、扱われている割合が最も小さい部類に入っていました。

盛り付けに使われる容器や皿の材料としては、ビンロウの葉を用いた皿が24.12%と最も多く、次いでアルミホイル容器(22.72%)、バナナの葉(20.45%)が使われていました。価格については、ミトゥン(在来牛の一種)、山羊肉、鳥類、スズメバチ(昆虫)、アヒルを使った料理が高価格帯であったと報告されています。

この研究の位置づけと読むうえでの注意

この研究は、ホーンビル祭という特定の祭りの3年間の市場を対象とした調査であり、得られた結果はこの地域・この祭りに特有の状況を反映したものです。著者らは、これらの結果がナガランドの伝統的な動物由来食品に関する基礎的な情報を提供するものであり、付加価値製品の開発や、地域の食文化を保ちながら起業を促進する機会を示すものだとしています。一つの予備的な調査であり、ここから健康への効果や安全性について結論づけられるものではない点には注意が必要です。

まとめ

この研究は、インド・ナガランド州のホーンビル祭で販売されている伝統的な動物由来食品について、3年間の現地調査をもとに、豚肉を中心とした肉の種類、伝統的な加工方法、包装材料、価格帯などを記録したものです。研究チームは、こうした基礎データが地域の食文化を継承しつつ新たな商品開発や起業につながる可能性を示唆しているとしています。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:インド・ナガランド州ホーンビル祭における伝統的動物由来食品の調査と市場特性の予備的評価(フーズ・2026年08月)