この研究は、トルコの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Food Science & Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ローズヒップ(ドッグローズ、学名Rosa canina L.)は野生の果樹で、ビタミンCやフェノール化合物(植物に含まれるポリフェノール類などの成分)を多く含み、抗酸化活性が高いことから、栄養面・機能面で価値が認められています。
研究チームによると、ローズヒップはトルコ国内に広く自生している一方、各地の在来の遺伝資源はまだ十分に調べられていません。そのため、品種改良や保全、栽培に十分活用されていないといいます。そこで著者らは、トルコ東部トゥンジェリ県の中央地区に自生するローズヒップを対象に、形態、果実としての性質、成分を評価しました。将来の品種改良や栽培に役立つ可能性のある優れた系統を見つけることも目的としています。
何を調べたか
研究チームは、標高1178〜1256メートルの自然集団から、遺伝的に異なる10の系統(遺伝子型)を採取しました。
調べた項目は、果実と種子の特徴、果実の色、可溶性固形分(糖などが溶け込んだ成分の割合)、滴定酸度(酸味のもとになる酸の量の目安)、ビタミンC、フェノール化合物、フラボノイド、アントシアニン(赤や紫の色素)、抗酸化活性、有機酸の組成です。抗酸化活性は、FRAPとDPPHという二つの測定法で評価しました。
主な結果
論文によると、調べたすべての項目で系統間に有意な差が見られました。果実の重さは1.00〜1.81グラム、可溶性固形分は45.40〜51.90%、滴定酸度は1.03〜2.77%でした。ビタミンC含量は100グラムあたり235.67〜1126.30ミリグラムで、系統によって大きな差がありました。
総フェノール含量、総フラボノイド含量、総単量体アントシアニン含量、FRAPとDPPHによる抗酸化活性の値も、系統間で有意に異なっていました。有機酸では、特にクエン酸とリンゴ酸の含量に大きなばらつきがあったと報告されています。
多くの項目をまとめて傾向をつかむ主成分分析では、全体のばらつきの92.4%が説明され、10系統は大きく二つのグループに分かれました。総合的な評価の結果、TK2、TK5、TK9、TK10の4系統が、望ましいとされる複数の特性で優れていたとしています。
研究の意味
著者らは、この結果がトゥンジェリの自生ローズヒップ集団に大きな遺伝的多様性があることを示していると述べています。こうした在来集団は、遺伝資源の保全や、優れた個体を選ぶ品種改良、持続可能な栽培の取り組みに役立つ可能性があると論文はまとめています。
著者:Edanur Ertugrul(Department of Horticulture, Faculty of Agriculture Van Yüzüncü Yıl University Van Türkiye)、Erdal Ağlar(Design and Architecture, Department of Landscape Architecture Munzur University Faculty of Arts Tunceli Türkiye)、Burhan Öztürk(Department of Horticulture, Faculty of Agriculture Ordu University Ordu Türkiye)、Onur Tekin(Department of Horticulture, Faculty of Agriculture Van Yüzüncü Yıl University Van Türkiye)、Davut Alan(Department of Horticulture, Faculty of Agriculture Van Yüzüncü Yıl University Van Türkiye)、Umut Ateş(Department of Horticulture, Faculty of Agriculture Sakarya University of Applied Sciences Sakarya Türkiye)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Edanur Ertugrul, Erdal Ağlar, Burhan Öztürk, et al. Pomological and Biochemical Properties of Rosehip ( Rosa canina L.) Genotypes. Food Science & Nutrition 2026-10-01. DOI: 10.1002/fsn3.72280. 原著ライセンス:CC BY.