日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。

掲載誌:日本食品科学工学会大会講演要旨集

ライセンス: CC BY-NC-SA 4.0 対象: 公開論文 確認元: JaLC

閉経後は骨粗鬆症や肥満、糖尿病といった代謝性疾患のリスクが増加することが知られています。この研究では、卵巣を摘出したマウスを用いて、食品由来の成分であるバニリン酸(VA)が代謝にどのような影響を与えるかが調べられました。

調べられた成分と実験の対象

バニリン酸はフェノール化合物の一種で、生薬として使われる当帰(Angelica acutiloba)や、シイタケ(Lentinula edodes)の菌糸に含まれています。VAはエストロゲン受容体への親和性を持たない性質があり、この研究ではその性質を踏まえたうえで、10週齢の卵巣摘出マウスにVAを含む飼料(体重1kgあたり100mg/日)を10週間与え、対照群と比較する方法が取られました。

観察された結果

VAを摂取した群では、大腿骨の骨密度低下が対照群に比べて有意に抑制されました。また、血糖値の上昇や白色脂肪組織の重量増加についても、対照群と比べて抑制される結果が得られました。さらに、これらの変化が見られた一方で、子宮の肥大は観察されなかったと報告されています。

研究チームについて

この研究は、近畿大学農学部および同大学大学院農学研究科に所属するTeruyoshi Tanaka氏、Takashi Fukuda氏(同大学農業技術革新研究所も兼任)、Ando Masashi氏によって行われました。

示唆される内容

子宮肥大が見られなかったことから、VAはエストロゲンに作用する経路を介さずに、骨密度低下や血糖値上昇、脂肪組織量の増加といった卵巣摘出後に見られる変化を軽減する可能性があると考察されています。

著者:Teruyoshi Tanaka(School of Agriculture, Kindai University; Graduate School of Agriculture, Kindai University)、Takashi Fukuda(School of Agriculture, Kindai University; Graduate School of Agriculture, Kindai University; Agricultural Technology and Innovation Research Institute)、Ando Masashi(School of Agriculture, Kindai University; Graduate School of Agriculture, Kindai University)

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Teruyoshi Tanaka, Takashi Fukuda, Ando Masashi. 食餌性バニリン酸は卵巣摘出マウスの閉経後症状を予防する. 日本食品科学工学会大会講演要旨集 (2025). DOI: 10.3136/aamjsfst.72.0_74. 書誌情報取得元:JaLC(J-STAGE掲載資料・外部リンクなし)。