著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:International Journal of Accounting Management Economics and Social Sciences (IJAMESC)
ライセンス: CC BY-SA 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究の目的
インドネシアは、地図データベースに基づく集計でコーヒーショップの数が世界で最も多い国とされています。論文が引用する表では、その数は46万1991店に上ります。著者らは、店が増えて競争が激しくなるなか、各店は店の雰囲気や商品の質で他店との違いを打ち出し、客の購入を後押しする必要があると述べています。
これまでの研究には、店の雰囲気と商品が購入に与える影響をそれぞれ別々に調べたものがありました。一方で、両者を一つの枠組みで同時に扱った研究は少なく、大都市以外の地域を対象とした実証的な知見も限られていたと著者らは指摘しています。そこで研究チームは、西カリマンタン州シンタン県にあるコーヒーショップ「D'Lounge Coffee」を対象に、店の雰囲気と商品が客の購入の決め手にどう関わるかを分析しました。この店は2012年から営業を続ける、同地域でも古くからある店です。
何をどのように調べたか
研究でいう「店の雰囲気」は、店の外観、店内全体の印象、通路や席の配置、店内の掲示や陳列などを指します。照明、色、音楽、香りなど五感に訴える要素で客の印象や気分に働きかける店づくりのことです。「商品」は、品質、デザインや見た目、特徴、品ぞろえの幅といった面からとらえられています。
調査には、この店で2回を超えて購入した経験がある17歳以上の客100人が回答しました。店の雰囲気や商品について十分な経験を持つ人に答えてもらうため、条件に合う人を選んで依頼する方法がとられています。質問紙では、各項目に「まったくそう思わない」から「とてもそう思う」までの5段階で答えてもらいました。
集めた回答は「重回帰分析」という統計手法で分析されました。これは、複数の要因が一つの結果とどのように結びついているかを、同時に数値で表す方法です。分析に先立って、質問が測りたいものを適切に測れているか、回答が安定しているかといった点も確認されています。
主な結果
論文によると、店の雰囲気は購入の決め手に対してプラスの、統計的に意味のある影響を示しました。係数は0.369、確率値は0.002でした。確率値は、得られた結果が偶然だけで生じた可能性の目安で、小さいほど偶然とは考えにくいことを示します。商品も同じくプラスの、統計的に意味のある影響を示し、係数は0.143、確率値は0.004でした。
店の雰囲気と商品の二つを合わせて見た場合にも、購入の決め手への影響は統計的に意味のあるものでした。さらに、二つの要因で購入の決め手の違いがどの程度説明できるかを示す「決定係数」は0.528と報告されています。著者らはこの値から、購入の決め手の52.8%が店の雰囲気と商品によって説明され、残りの47.2%はこの研究で扱っていない別の要因によるものだと述べています。
この研究が示すこと
著者らは、居心地のよい雰囲気と質の高い商品が、客の購入の決め手を高めうると結論づけています。そのうえで、この店は競争が激しくなるコーヒーショップ業界のなかで、雰囲気と商品の質の両方を引き続き高めていくべきだと提言しています。
この研究は、ある地方都市の一つの店で、繰り返し訪れている客を対象に行われたものです。それでも、店の居心地と提供する商品が客の選択にともに関わっていることを、具体的な調査データとして示した報告といえます。
原著論文の著者・所属:Adi Rifaldi(Universitas Muhammadiyah Pontianak, Indonesia)、Yasir Hudzaifah(Universitas Muhammadiyah Pontianak, Indonesia)、Joko Susilo(Universitas Muhammadiyah Pontianak, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Adi Rifaldi, Yasir Hudzaifah, Joko Susilo HOW STORE ATMOSPHERE AND PRODUCT QUALITY INFLUENCE CONSUMER PURCHASE DECISIONS: EVIDENCE FROM INDONESIAN COFFEE SHOPS. International Journal of Accounting Management Economics and Social Sciences (IJAMESC) 2026-10-27. DOI: 10.61990/ijamesc.v4i5.842. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。