著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Studia Journal of Humanities and Education Studies

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

テンペは、大豆を発酵させて作るインドネシアの伝統食品です。研究チームは、インドネシア東ジャワ州ンガンジュク県カロラン村にある家内工業のテンペ製造所「XYZ」を対象に、労働安全衛生上の危険を調べました。

論文によると、この製造所では簡素な機械や道具が使われ、作業場の大部分が濡れた環境にあります。また、安全衛生の管理体制は文書として整っていませんでした。研究チームは、こうした条件が労働災害や健康上の問題のリスクを高めうると指摘しています。そこで、テンペ製造の全工程について潜在的な危険を特定し、リスクの高さを評価したうえで、対策の優先順位を提案することを目的としました。

著者らは導入部で、小規模な食品製造でも危険が小さいとは限らないと述べています。作業場が小さくても、熱、機械、電気、作業姿勢などに由来する危険はあるという考え方です。

調査の方法

この研究は、一つの現場を詳しく調べる事例研究です。分析には「HIRADC」と呼ばれる手法を用いました。HIRADCは、危険の特定、リスクの評価、対策の決定という3段階で職場の安全を検討する枠組みです。

データは、作業の直接観察、文書や記録の確認、そして働き手全員への聞き取りによって集めました。働き手は4人で、家族3人と家族以外の1人です。複数の方法で得た情報を照らし合わせ、結果の確かさを高めています。

リスクの評価には5段階×5段階のマトリックス(評価表)を使いました。各危険に段階ごとの評点をつけて組み合わせ、リスクを「非常に高い」「高い」「中程度」「低い」に分類する半定量的な方法です。対象とした製造工程は、最初の煮沸、大豆の粉砕、皮の分離、浸漬、二度目の煮沸、水切りと冷却、種菌(ラギ)の混合、洗浄、包装、テンペの切り分けを含む10工程です。

主な結果

研究チームは、10の工程から合計30の潜在的な危険を特定しました。危険は、物理的危険、機械的危険、人間工学的危険(姿勢や重い物の持ち運びなど体への負担)、作業環境、電気、種菌の粉じんへのばく露の6種類に分けられました。最も多かったのは物理的危険と人間工学的危険で、ほとんどの工程で見られました。

リスクが「非常に高い」とされたのは3件です。1回目と2回目の煮沸工程での沸騰したお湯のはね、そして濡れた場所の近くにある電気設備がこれに当たります。「高い」は3件で、熱い蒸気へのばく露と、回転する機械部分への接触が含まれます。滑りやすい床、重い物の手作業での運搬、かがんだ姿勢での作業など20件は「中程度」、残る4件は「低い」と評価されました。

これらの結果から、著者らは煮沸工程と大豆の粉砕工程の安全衛生リスクが最も高いと結論づけています。また、この製造所のリスク対応は、問題が起きてから動く事後的なものにとどまっており、予防の仕組みが整っていないと報告しています。

提案された対策と研究の意味

対策として著者らがまず優先すべきとしたのは、設備や環境そのものを改める工学的な対策です。具体的には、機械への防護カバーの取り付け、煮沸容器のふた、排水の改善が挙げられています。その次に、作業手順書の整備などの管理的な対策と、保護具を一貫して着用することを位置づけています。

この研究は、家族中心で営まれる小さなテンペ製造所でも、熱湯、蒸気、機械、電気、濡れた床などに由来するさまざまな危険が全工程にわたって存在することを、具体的な工程ごとに示しました。どの危険に優先して対処すべきかを整理した点に、この事例研究の意味があります。

原著論文の著者・所属:Ilham Sandya Putra(Kampus 4 Sidoarjo Politeknik Negeri Jember)、Sekar Ayu Wulandari(Kampus 4 Sidoarjo Politeknik Negeri Jember)、Septine Brillyantina(Industri Rumah Tangga Tempe XYZ di Desa Kaloran , Kabupaten Nganjuk memiliki berbagai potensi)、Rahmat Dhandy(Kampus 4 Sidoarjo Politeknik Negeri Jember)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ilham Sandya Putra, Sekar Ayu Wulandari, Septine Brillyantina, Rahmat Dhandy Identifikasi Bahaya dan Penilaian Risiko K3 pada Industri Rumah Tangga Tempe XYZ menggunakan Metode HIRADC di Desa Kaloran, Nganjuk. Studia Journal of Humanities and Education Studies 2026-08-18. DOI: 10.66749/ytmgge18. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。