著者の所属・活動拠点の国は、韓国です。
掲載誌:Frontiers in Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
植物性食品を中心とした食事は健康的だと考えられがちですが、精製された穀類や甘い飲み物なども植物由来です。そのため、どのような植物性食品を食べるかという「質」も重要になります。この質を評価する指標の一つに「不健康な植物性食事指数(uPDI)」があります。精製穀類、じゃがいも、砂糖入り飲料といった、代謝の病気との関連が指摘される植物性食品を多く食べるほど点数が高くなる指標です。
これまで植物性食事指数を用いた研究は主に欧米の集団で行われてきました。米や野菜、発酵食品を多くとる伝統的な食習慣を持ちながら、近年は食生活の欧米化が進む韓国では、異なる関連が見られる可能性があります。研究チームは、韓国の成人を対象に、uPDIと、体内の炎症の目安となる血液検査値「高感度C反応性たんぱく(hsCRP)」、および肥満の指標であるBMIとの関連を調べました。
何を調べたか
研究チームは、韓国の国民健康栄養調査(2022〜2023年)のデータを使いました。19〜64歳の成人のうち、エネルギー摂取量の報告が極端な人、低体重の人、hsCRPの測定値がない人などを除いた5,610人(男性2,607人、女性3,003人)を分析しています。
食事内容は、前日24時間に食べたものを聞き取る方法で1回調べました。食品は19のグループに分類されています。元の指標の18グループに、韓国の食事の特徴を反映させるため「塩辛い食品」のグループが加えられました。uPDIでは、不健康とされる植物性食品を多く食べるほど点数が高くなります。一方、全粒穀物や野菜、果物などの健康的な植物性食品と動物性食品は、多く食べるほど点数が低くなります。合計点は19〜95点の範囲です。
hsCRPは3 mg/L以上を炎症が高い状態としました。肥満の基準には、アジア人向けの基準であるBMI 25以上を用いています。分析は男女別に行いました。年齢、総エネルギー摂取量、学歴、世帯収入、喫煙、飲酒、身体活動の影響を統計的に調整し、女性では閉経の有無も考慮しています。
主な結果
女性では、uPDIの点数が高い人ほどhsCRPとBMIがともに高いという関連が見られました。各種要因を調整した分析では、uPDIが1点高くなるごとにhsCRPは約1.81%高く、BMIは0.075 kg/m²高いという関係が報告されています。
uPDIの点数で女性を4つのグループに分けて比べた分析もあります。最も点数が高いグループは最も低いグループに比べ、hsCRPが3 mg/L以上となるオッズ比が2.043、肥満となるオッズ比が1.876でした。オッズ比とは、ある状態になりやすさを2つのグループで比べた値です。
BMIの影響を追加で調整してもuPDIとhsCRPの関連は残りました。同様に、hsCRPを調整してもuPDIとBMIの関連は残っています。一方、男性ではどの分析でも統計的に意味のある関連は認められませんでした。
なお、uPDIが高いグループでは男女とも穀類の摂取が多い傾向がありました。逆に、豆類、ナッツ類、野菜、果物、卵、魚介類、乳製品の摂取は少ない傾向が見られています。
研究が示すこと
著者らは、不健康な植物性食品に偏った食事パターンが、韓国の女性において炎症や肥満の指標の高さと関連していたと結論づけています。女性で関連がより明確だった理由として、著者らは体脂肪の割合や女性ホルモンの働きといった生物学的な違いなどが関係している可能性を挙げています。
ただし、この研究はある一時点のデータを分析したものです。そのため、示されたのは関連であり、この食事パターンが炎症や肥満を引き起こすという因果関係までは示されていないと著者らは述べています。植物性の食事であっても、その「質」に目を向けることの意味を、東アジアの集団のデータから示した研究といえます。
原著論文の著者・所属:Ara Yoo(Department of Food and Nutrition, Wonkwang University)、Injoong Shin(Department of Food and Nutrition, Wonkwang University)、Hyoyeon Son(Department of Food and Nutrition, Wonkwang University)、Won Jang(Department of Food and Nutrition, Dongseo University)、Hyesook Kim(Department of Food and Nutrition, Wonkwang University; Institute for Better Living, Wonkwang University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ara Yoo, Injoong Shin, Hyoyeon Son, et al. Associations of the unhealthy plant-based diet index with hsCRP and BMI in Korean adults. Frontiers in Nutrition 2026-08-04. DOI: 10.3389/fnut.2026.1836622. 原著ライセンス:CC BY.