著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Epileptic Disorders

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

てんかんのある子どもの食事は、病気そのものの影響を受けるのでしょうか。それとも、家庭の食環境の影響が大きいのでしょうか。研究チームは、てんかんのある子どもの食事パターンを調べ、同じ家庭で暮らし、年齢と性別をそろえた健康なきょうだいの食事と比べました。

あわせて、てんかんのある子どもの臨床的な特徴と食事の適切さとの関連も調べています。臨床的な特徴とは、運動機能の障害や発達の遅れなど、てんかん以外に併せ持つ状態(併存症)のことです。

どのように調べたか

この研究は、ある一時点の状態を調べる横断研究です。てんかんの専門外来で参加者を募り、2〜18歳の58人が参加しました。内訳は、てんかんのある子ども37人と、比較対象となるきょうだい21人です。

食事の内容は、年齢に応じた食物摂取頻度調査票で評価しました。これは、さまざまな食品をどのくらいの頻度で食べているかを尋ねる質問票で、妥当性が確認されたものです。回答は国の食事推奨に照らして分類されました。そのうえで統計モデルを使い、どのような要因が摂取量や摂取の適切さと関係するかを分析しています。

主な結果

抄録によると、てんかんのある子どもとそのきょうだいの両方で、穀類・果物・野菜の摂取が不足していました。一方で、糖分の多い食品や超加工食品の摂取は過剰でした。てんかんのある子どもときょうだいの間で、摂取量や摂取の適切さに有意な差はみられませんでした。

てんかんのある子どもに限ると、併存症によって食事に違いがみられました。運動障害や便秘がある子どもは野菜の摂取が多い傾向がありました。反対に、知的障害は野菜の摂取が少ないことと、発達の遅れは果物の摂取が少ないことと関連していました。

野菜の摂取が不足する可能性で見ると、自閉スペクトラム症がある場合はその可能性が低くなっていました。知的障害がある場合と年齢が低い場合は、可能性が高くなっていました。これらは関連を示した結果であり、原因と結果の関係を示したものではありません。

結果が示すこと

研究チームは、てんかんのある子どもの食事パターンは健康なきょうだいと似ていると報告しています。そのうえで、てんかんのある子どもの中では、臨床的な特徴や併存症によって食事の内容と適切さに違いがみられたとしています。

著者らは、小児てんかんの栄養指導について、てんかんという診断だけで考えるのではなく、併存症や家庭の状況に合わせて行うべきだと示唆しています。子どもの食事を理解するには、病名だけでなく、家庭環境と一人ひとりの状態の両方に目を向ける必要があることを示した研究といえます。

原著論文の著者・所属:Ana Claudia Cândido Oliveira(Child Neurology Service, Department of Neurology University of Campinas (UNICAMP) Campinas Brazil)、Maria Eduarda Pereira Santana(Child Neurology Service, Department of Neurology University of Campinas (UNICAMP) Campinas Brazil)、Giuliane V. M. Zanin(Child Neurology Service, Department of Neurology University of Campinas (UNICAMP) Campinas Brazil)、Jaqueline Lamas da Silva(Department of Statistics Federal University of Juiz de Fora (UFJF) Juiz de Fora Brazil)、Camila Borelli Zeller(Department of Statistics Federal University of Juiz de Fora (UFJF) Juiz de Fora Brazil)、Ana Carolina Coan(Brazilian Institute of Neuroscience and Neurotechnology, BRAINN at UNICAMP Campinas SP Brazil; Child Neurology Service, Department of Neurology University of Campinas (UNICAMP) Campinas Brazil; Neuroimaging Laboratory UNICAMP Campinas SP Brazil)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ana Claudia Cândido Oliveira, Maria Eduarda Pereira Santana, Giuliane V. M. Zanin, et al. Dietary patterns in children with epilepsy: The role of household environment and clinical comorbidities. Epileptic Disorders 2026-08-03. DOI: 10.1002/epd2.70362. 原著ライセンス:CC BY.