著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。

掲載誌:Journal of Dairy Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

可食性フィルムは、食べられる素材で作る薄い膜です。この研究では、牛乳のたんぱく質であるカゼインを塩の形にした「カゼイン酸塩」を原料とするフィルムを扱っています。著者らによると、カゼイン酸塩を使ったフィルム溶液は、殺菌してもでき上がるフィルムの性質に目立った影響が出ないことが、最近の研究で示されていました。

一方で、殺菌した溶液を、フィルムの品質を落とさずに保存できる条件は、まだ調べられていませんでした。研究チームは、この保存条件を検討しました。

何を調べたか

研究チームは、カゼイン酸ナトリウムとカゼイン酸カルシウムをそれぞれ原料とするフィルム溶液を用意しました。殺菌の方法は、低い温度で長時間加熱する低温長時間殺菌、高い温度で短時間加熱するHTST殺菌、さらに高い温度で処理するUHT殺菌の3種類です。比較のため、殺菌しない溶液も用意しました。

これらの溶液を、マイナス20度、4度、20度、30度の4つの温度で保存し、微生物が増えるかどうかを調べました。さらに、保存中に傷まなかった溶液からフィルムを作り、その性質を比べました。

主な結果

論文の報告によると、試験期間を通して、4つの保存温度すべてで微生物が増えなかったのは、UHT殺菌した溶液だけでした。

研究チームは、25週間保存したあとも傷んでいなかった溶液からフィルムを作りました。その結果、マイナス20度、4度、20度で保存したUHT処理の溶液から作ったフィルムは、作りたての殺菌していない溶液から作ったフィルムと比べて、テクスチャー(フィルムの質感に関わる性質)に検出できる違いがなかったと報告されています。

研究が示すこと

この研究は、UHT殺菌したカゼイン酸塩のフィルム溶液が、調べた4つの温度すべてで試験期間中に微生物の増殖を示さなかったことを報告しています。また、マイナス20度、4度、20度で25週間保存したUHT処理の溶液から作ったフィルムでは、作りたての殺菌していない溶液から作ったフィルムとの間にテクスチャーの差は検出されませんでした。フィルム溶液を保存しておく際の殺菌方法と温度を考えるうえで、一つの手がかりとなる結果です。

原著論文の著者・所属:M.J. McAnulty(Dairy and Functional Foods Research Unit, USDA, Agricultural Research Service, Eastern Regional Research Center, Wyndmoor, PA, 19038)、G.K. Guron(Dairy and Functional Foods Research Unit, USDA, Agricultural Research Service, Eastern Regional Research Center, Wyndmoor, PA, 19038)、B.M. Plumier(Dairy and Functional Foods Research Unit, USDA, Agricultural Research Service, Eastern Regional Research Center, Wyndmoor, PA, 19038)、A.M. Oest(Dairy and Functional Foods Research Unit, USDA, Agricultural Research Service, Eastern Regional Research Center, Wyndmoor, PA, 19038)、J.A. Renye(Dairy and Functional Foods Research Unit, USDA, Agricultural Research Service, Eastern Regional Research Center, Wyndmoor, PA, 19038)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):M.J. McAnulty, G.K. Guron, B.M. Plumier, et al. Storage of pasteurized sodium and calcium caseinate-based edible film solutions. Journal of Dairy Science 2026-10-01. DOI: 10.3168/jds.2026-29473. 原著ライセンス:CC BY.