著者の所属・活動拠点の国は、インドです。
掲載誌:Spanish Journal of Agricultural Research
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
接ぎ木に使える苗を育てる条件を探る
研究チームは、アンズの種をまく間隔と、苗を育てる培地の組み合わせが、発芽や苗の生育、接ぎ木に使える太さまで育つ苗の割合にどう影響するかを調べました。目的は、発芽がそろい、生育のよい苗を得るための育苗条件を見いだすことです。
試験は北西ヒマラヤの中山間地域にある苗畑で行われました。種まき間隔は15×5センチ、15×10センチ、15×15センチの3種類です。培地には、ココヤシの殻由来の園芸用資材であるココピート、砂、家畜ふん堆肥と、それらを組み合わせた計5種類を使い、合計15通りの条件を比較しました。
最も広い間隔と混合培地で良好な結果
研究チームは、発芽率に加え、苗の高さや茎の太さ、根の発達、葉の状態、光合成の速さなどを測定しました。また、地表から10センチの位置で茎の直径が5ミリ以上になった苗を「接ぎ木可能」と判定しました。これは接ぎ木に適した太さに達した割合であり、実際の接ぎ木の成功率ではありません。
著者らの報告では、15×15センチの間隔と、ココピートと家畜ふん堆肥を1対1で混ぜた培地の組み合わせが、発芽率81.21%、接ぎ木可能な苗の割合85.55%で、いずれも最も高くなりました。この組み合わせでは、苗の生育や根の発達、葉の面積、植物体の乾燥重量などでも良好な結果が報告されています。
間隔と培地をそれぞれ比較した場合も、最も広い15×15センチの間隔と、ココピート・堆肥の混合培地が、多くの生育指標で優れていました。研究チームは、間隔と培地の組み合わせによって結果が変わることも示しました。
苗の生育には空間と根元の環境の両方が重要
著者らは、広い間隔によって光や水、養分をめぐる苗同士の競合が減り、混合培地によって根の周囲の水分・空気・養分の条件が整ったことが、良好な生育につながった可能性を挙げています。今回の研究は、この苗畑の条件では、種まき間隔と培地を合わせて選ぶことが、苗の生育と接ぎ木可能な苗の割合を高めるうえで重要であることを示しています。
原著論文の著者・所属:Manisha Kumari(Department of Fruit Science, College of Horticulture, Dr YSP University of Horticulture and Forestry Nauni, Solan (H.P.), India - 173230)、Pramod Verma(Department of Fruit Science, College of Horticulture, Dr YSP University of Horticulture and Forestry, Nauni, Solan (HP), India – 173230)、Naveen C. Sharma(Department of Basic Sciences, College of Forestry, Dr YSP University of Horticulture and Forestry, Nauni, Solan (HP), India – 173230; Department of Fruit Science, College of Horticulture, Dr YSP University of Horticulture and Forestry, Nauni, Solan (HP), India – 173230)、Nitin Sharma(Department of Basic Sciences, College of Forestry, Dr YSP University of Horticulture and Forestry, Nauni, Solan (HP), India – 173230; Department of Fruit Science, College of Horticulture, Dr YSP University of Horticulture and Forestry, Nauni, Solan (HP), India – 173230)、Harsh Panwar(Department of Fruit Science, College of Horticulture, Dr YSP University of Horticulture and Forestry, Nauni, Solan (HP), India – 173230)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Manisha Kumari, Pramod Verma, Naveen C. Sharma, et al. Spacing and media synergy enhance Prunus armeniaca seedling vigor and graftable yield in temperate nursery systems. Spanish Journal of Agricultural Research 2026-09-11. DOI: 10.5424/sjar/2026242-22177. 原著ライセンス:CC BY.