平日は仕事や学校のために早起きし、休日は寝だめをする——こうした生活リズムのずれは「ソーシャルジェットラグ」と呼ばれ、体内時計と社会的なスケジュールとの不一致を指します。近年、この睡眠パターンの乱れが体重増加や食行動と関係するのではないかという関心が広がっています。今回紹介するインドネシアの研究は、過体重・肥満の成人女性を対象に、ソーシャルジェットラグと日々のエネルギー摂取量との関連を調べたものです。

どのように調べたのか

研究対象は20歳から60歳までの過体重・肥満の女性85名で、対象者は条件を満たす人を意図的に選ぶ「purposive sampling」という方法で集められました。研究デザインは横断的観察研究で、ある一時点でのデータをもとに関連を分析する形式です。

ソーシャルジェットラグの評価には「Chrono Nutrition Behavior Questionnaire(CNQ)」という質問票が用いられ、平日と休日の睡眠スケジュールのずれが調べられました。一方、日々のエネルギー摂取量は「Semi-Quantitative Food Frequency Questionnaire(SQ-FFQ)」という食事摂取頻度を尋ねる質問票で評価されています。得られた2つのデータの関連性は、Spearman順位相関という統計手法で分析されました。

研究でわかったこと

分析の結果、ソーシャルジェットラグとエネルギー摂取量の間には統計的に有意な相関は見られませんでした(相関係数r=-0.170、p=0.120)。この数値は、両者の間に関連がある可能性を示すほど強い結果ではなかったことを意味します。

これを踏まえて研究者らは、概日リズム(体内時計のリズム)の乱れ、特に睡眠パターンのずれは、必ずしも1日の総カロリー摂取量と直接結びつくわけではない、と結論づけています。

この研究の読み方

この研究は、ある一時点での睡眠パターンと食事量を同時に調べた横断的観察研究であり、原因と結果の関係を証明するものではありません。また対象は20~60歳の過体重・肥満の女性85名に限られており、対象者の選び方も無作為抽出ではなく条件に合う人を選ぶ方式が用いられています。そのため、この結果がほかの年齢層や性別、体格の人にも当てはまるかどうかは、この論文の範囲だけでは判断できません。ソーシャルジェットラグが体重や食生活に与える影響については、今回とは異なる指標や対象で調べた研究も存在する可能性があり、この一つの研究だけで結論が確定したわけではない点に注意が必要です。

まとめ

今回の研究では、過体重・肥満の女性85名を対象に、平日と休日の睡眠スケジュールのずれ(ソーシャルジェットラグ)とエネルギー摂取量との関連を調べたところ、統計的に有意な相関は認められませんでした。睡眠リズムの乱れが体重管理に関わるかどうかは今後も研究が続けられるテーマであり、今回の結果は数ある知見の一つとして受け止めるのがよいでしょう。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Lola Amelia Putri, Noor Rohmah Mayasari. Hubungan Social Jetlag dengan Asupan Energi pada Wanita Dewasa Overweight dan Obesitas. メディア・ギジ・イルミア・インドネシア (2026). DOI: 10.62358/mgii.v4i2.203. 原著ライセンス: cc-by-nc-sa.