子どもの過体重・肥満は世界的な健康課題として関心を集めており、中国でもその割合が増加していると報告されています。今回紹介するのは、中国・山東省で9〜12歳の児童を対象に行われた大規模な横断研究です。人口が多く経済発展の進んだ地域である山東省を舞台に、どのような要因が子どもの体格と関連しているのかを調べています。
この研究では、山東省16都市・155校に通う9〜12歳の児童83,436人を対象に、2025年9月から11月にかけて横断調査が実施されました。身長・体重などの身体測定に加え、家庭環境や生活習慣に関する検証済みの質問票を用いてデータが集められ、過体重・肥満の判定には国際的な基準(IOTF基準)が用いられました。関連する要因の分析にはロジスティック回帰という統計手法が使われています。
研究でわかったこと
全体として、過体重・肥満の児童の割合は19.0%であったと報告されています。性別でみると男児が19.9%、女児が18.2%とやや男児で高く、年齢が上がるにつれて割合も高くなる傾向がみられ、9歳児で18.0%だったのに対し11歳児では20.4%だったとされています。また都市部の児童(19.6%)は農村部の児童(18.7%)よりわずかに高い割合だったと報告されています。
過体重・肥満と独立して関連していた要因としては、親が過体重・肥満であること、母親が妊娠糖尿病だったこと、出生時の体重が高かったことが挙げられています。生活習慣に関しても複数の関連が示されており、1日の身体活動時間が1時間未満だとリスクが高まる一方、1.5時間を超えるとリスクが低い傾向にあったとされています。また、1日8時間を超える睡眠はリスクの低さと関連し、逆に1日3時間を超える画面視聴(スマートフォンやテレビなど)や3時間を超える宿題時間はリスクの高さと関連していたと報告されています。食生活については、果物や野菜を頻繁に摂取することはリスクの低さと、週3回を超えるファストフードの摂取はリスクの高さと関連していたとされています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は横断研究であり、ある一時点でのデータをもとに要因同士の関連を調べたものです。そのため、「身体活動が少ないから太る」「太っているから身体活活動が少ない」といった因果関係の向きまでを確定するものではない点に注意が必要です。また、対象は中国・山東省という特定の地域の児童であり、得られた関連が他の地域や年齢層にそのまま当てはまるとは限りません。一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではない点を踏まえて読むとよいでしょう。
研究者らは、家庭での健康行動、母親の代謝管理、学校での身体活動の推進、地域の栄養政策など、複数の側面からの取り組みが子どもの肥満対策において重要である可能性を指摘しています。
まとめ
今回紹介した山東省の大規模調査では、9〜12歳の児童の約19%が過体重・肥満に該当し、性別・年齢・都市/農村といった背景に加え、親の体格や妊娠糖尿病、出生体重などの家族的要因、そして身体活動・睡眠・画面視聴・宿題時間・食習慣といった生活習慣が過体重・肥満と関連していることが示されました。今後、こうした知見をもとにした多角的な取り組みの検討が期待されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:中国山東省における学齢児童の過体重・肥満に関する栄養・行動的決定要因:大規模横断研究からのエビデンス(フロンティアーズ・イン・ニュートリション・2026年08月)