著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Kegiatan Positif Jurnal Hasil Karya Pengabdian Masyarakat

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

生豆のまま売られていたコーヒー

インドネシア中部ジャワ州テマングン県のグマワン集落は、シンドロ・スンビン地域のアラビカコーヒーの産地です。ここでは、22人の女性で構成される女性農業者グループ「ムカル・マンディリ」がコーヒーを扱っています。著者らの事前調査では、メンバー全員がコーヒーを焙煎していない生豆(グリーンビーン)のまま売っていました。焙煎の知識や包装の設備を持つメンバーはおらず、売値が低いことが課題とされました。

著者らは、適切な焙煎がコーヒー特有の香りや風味を引き出し、販売価格を高め、保存期間を延ばすと説明しています。そこで、ジェンバー大学の学校外教育と農産物加工技術の専門家が協力し、地域密着型の小さな焙煎所づくりの第一歩として、このグループの焙煎と包装の技能を高める支援活動を行いました。

自分たちの豆を使った実践型の研修

活動は、説明会、焙煎の研修と実習、加工・包装技術の導入、定期的な支援と評価、成果の発信という段階で進められました。理論の時間には、コーヒーの品種とその特徴、豆の大きさや水分による選別、焙煎の原理と手順、浅煎り・中煎り・深煎りによる味や香りの違い、焙煎後の包装の基本を学びました。

実習では、メンバーが自分たちで収穫したアラビカ豆を選別し、二つの方法で焙煎しました。一つは直火にかけた鍋を使う伝統的な方法で、もう一つは回転するドラム式の焙煎器を使う半伝統的な方法です。参加者は焙煎中の豆の色や香りの変化を観察し、焙煎の進み具合の目安となる「ファーストクラック」(豆がはじける音)を見分ける練習をしました。包装については、密閉容器の重要性や、産地・品種・収穫後の処理方法・製造日といったラベル表示、風味を保つ保存方法を学びました。

研修の効果を確かめるため、研修の前と後に同じ参加者へアンケートを行いました。豆の品質の知識、焙煎の理解、実践的な技能、事業への姿勢と意欲という4つの側面にわたる13項目を、1〜5の5段階で自己評価してもらう形式です。

技術的な知識が大きく伸びた

著者らによると、22人中20人(約91%)が研修内容を理解し、伝統的・半伝統的な方法のどちらでも自力で焙煎できるようになりました。13項目の合計点の平均は、研修前の44.63(「中」の水準)から研修後は59.21(「高」の水準)に上がりました。伸びる余地のうち実際にどれだけ伸びたかを示す指標「N-Gain」は0.72で、これも「高」に分類されています。

特に伸びたのは技術的な知識と実践的な技能に関する項目でした。シンドロ・スンビン産コーヒーの味の特徴、焙煎機の部品の働き、ファーストクラックの意味、焙煎度による味の違い、密閉包装の技術などがこれにあたります。著者らは、自分で選別や焙煎を体験する「やりながら学ぶ」形式によって、抽象的だった知識が具体的に身についたと考えています。

一方、新しい技術を学び続ける意欲や、加工品を自分たちで事業として運営できるという自信など、姿勢と意欲に関する項目は研修前からすでに高い点数でした。そのため研修後の伸びは小さく、数値上わずかに下がった項目もあります。著者らはこれを、点数が尺度の上限近くにあったための現象と説明しています。研修はもともと高かった意欲を保ちながら、それまでなかった技術を補う役割を果たしたとしています。

具体的な成果として、メンバーは「ムカル・マンディリ」ブランドの焙煎コーヒーの試作品を作りました。密閉容器に詰め、製品情報と生産地を記したラベルを付けています。まだ習得が十分でない2人には、個別の支援を続ける予定です。

生産者自身が付加価値を生み出す第一歩

この報告は、生豆を売るだけだった女性農業者たちが、短い期間で焙煎と包装の基本を身につけ、自分たちのブランド名を付けた製品を形にできたことを示しています。著者らは、この取り組みが小規模農家のコーヒーに付加価値を加え、農村のコーヒー産業で女性の役割を強めるための土台になると位置づけています。

原著論文の著者・所属:Didik Kurniawan(Universitas Jember)、Nani Sintiawati(Universitas Jember)、Ning Puji Lestari(Universitas Jember)、Arief Tukiman Hendrawijaya(Universitas Jember)、Icha Rima Ervina(Universitas Jember)、Nuril Satrya(Universitas Jember)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Didik Kurniawan, Nani Sintiawati, Ning Puji Lestari, Arief Tukiman Hendrawijaya, Icha Rima Ervina, Nuril Satrya Pendampingan Kelompok Wanita Tani dalam Peningkatan Kualitas Kopi Arabika Sindoro-Sumbing Melalui Inovasi Proses Roasting di Dusun Gemawang, Kabupaten Temanggung. Kegiatan Positif Jurnal Hasil Karya Pengabdian Masyarakat 2026-09-30. DOI: 10.61132/kegiatanpositif.v4i3.2986. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。