著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Pengabdian UNDIKMA
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
取り組みの目的と背景
インドネシア中部ジャワ州ウォノギリ県の村で、地元ブレゴ山周辺のロブスタ種コーヒーを粉コーヒーに加工している小規模事業者「コピ・ブレゴ・パク・ムル」があります。著者らのチームは、この事業者を対象に地域支援活動を行い、その成果を報告しました。目的は、コーヒー焙煎機(ロースター)の導入によって製品の品質を高めることと、ドリップバッグコーヒーという新商品の開発によって商品の幅を広げることです。
論文によると、コーヒーの香りや味は、生の豆を加熱する「焙煎」の工程で大きく左右されます。ところがこの事業者は、焙煎を手作業で行っていました。温度や時間を細かく調整しにくいため、仕上がりにむらが出やすく、作業にも時間がかかっていました。月の生産量は平均約100キログラムで、注文が集中すると順番待ちが生じていたといいます。販売していた商品は、100グラムと200グラムの袋入り粉コーヒー1種類だけでした。
活動の進め方
活動は2025年3月から10月にかけて、4つの段階で行われました。最初の段階では、チームが事業者のもとを訪れて活動内容を説明し、生産上の課題を話し合いました。次に焙煎機を導入し、使い方の研修を行いました。3つ目の段階ではドリップバッグコーヒーの作り方を研修し、最後に学生2人の協力を得ながら運用を支援し、評価を行いました。
導入された焙煎機は一度に1キログラムを焙煎できます。熱を安定させる加熱構造、焼き上がった豆をすぐに冷やす冷却部、温度計、速度調整付きの操作ボタンなどを備えています。ドリップバッグの研修では、アラビカ種のコーヒーを使いました。豆を細かく挽き、量を量ってフィルターに詰め、封をして包装するまでの工程を扱い、衛生面への配慮や品質の標準化も取り上げました。
評価は数値の統計解析ではなく、導入前後の変化を観察して記述する方法で行われました。チームと事業者が一緒に、手作業で焙煎した豆と機械で焙煎した豆の見た目、状態、味を比べています。
報告された主な結果
報告によると、手作業の焙煎では1キログラムあたり約30分かかっていました。冷却は扇風機で行っていたため、冷却まで含めると全体で45〜50分ほど必要でした。焙煎機を使うと、冷却を含めて10〜15分ほどで済んだとされています。
品質面では、手作業で焙煎した豆は色が不ぞろいで黒っぽくなりやすく、まきを使うため煙のにおいが付き、焦げた味になることもありました。機械で焙煎した豆については、浅煎りから深煎りまで色がそろい、香りが強く安定し、味もバランスがよくなったと記されています。事業者による評価点は、手作業の2.9に対し、機械では4.7でした。
活動全体の評価では、事業者の代表が焙煎機の操作とドリップバッグの製造を自力でこなせるようになったこと、品質の向上が、いずれも「非常に良い(95%)」と判定されました。新商品の開発と、経済面・起業意欲への効果は「良い(85%)」とされています。後者については、顧客からの好意的な声や粉コーヒーの注文の増加が根拠として挙げられています。ドリップバッグについては、包装が現代的で手軽になり、消費者にとっての魅力や販売価値が高まる可能性があると報告されています。
この報告が示すこと
この報告は、規模の小さなコーヒー事業者にとって、焙煎のような品質を左右する工程に身の丈に合った機械を取り入れることが、作業時間の短縮と仕上がりの安定につながりうることを、一つの事業者の事例として示しています。新しい商品形態への挑戦とあわせて、長年続けてきたやり方を変えることで地元の小規模事業の競争力を高められる可能性がある、というのが著者らの伝えるところです。
原著論文の著者・所属:Isti Khomah(Universitas Sebelas Maret)、Kusnandar(Universitas Sebelas Maret)、Nuning Setyowati(Universitas Sebelas Maret)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Isti Khomah, Kusnandar, Nuning Setyowati Peningkatan Kualitas Produk Kopi melalui Introduksi Mesin Roasting pada UKM Kopi Blego Pak Mul Kabupaten Wonogiri. Jurnal Pengabdian UNDIKMA 2026-08-10. DOI: 10.33394/jpu.v7i3.18587. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。